「離婚」で悩んでいませんか? よくある質問に弁護士がアンサー
「夫に不倫された場合の慰謝料はいくら?」「モラハラは離婚理由になるの?」――。実際に寄せられることが多い離婚に関する疑問に弁護士がわかりやすく回答します。
1.よくある慰謝料の疑問
Q.そもそも慰謝料って何ですか?
A.慰謝料は、相手方(配偶者)の違法行為によって受けた精神的損害(苦痛)に対する損害賠償金のことです。
Q.慰謝料に相場はあるのですか?
A.慰謝料は、「物を壊したのでその物の時価を弁償する」といった、財産的損害に対する損害賠償金とは異なり、ただちに金銭に換算できず、同じ出来事でも人によって受け止め方が違うため、適正金額を算定することは一般に難しいものです。
ただし、同じ不法行為があったにもかかわらず、被害者の“精神的タフさ”によって金額が変わってしまっては、不公平になりかねません。そこで、裁判所における調停や訴訟では、いわゆる「相場」のようなものが一応存在するとされています。
例えば、離婚原因として最も件数が多い「不貞」については、「100万~300万円」が相場と言われています。ただし、具体的な金額については、個別の事案ごとに増額する要素、減額する要素があるかどうかで変わります。
Q.慰謝料が認められるのはどんな場合ですか?
A.典型的なのは、相手方に「不貞」があった場合で、離婚原因の中で最も件数が多いものです。慰謝料の相場は「100万~300万円」とされていますが、訴訟の場合は、以下の要素などを踏まえて判断されます。
・婚姻期間
・不貞をした相手方の経済力
・不貞の違法性の程度(不貞期間、不貞相手の人数、頻度、発覚後の態度など)
・未成年の子どもの有無
次に、相手方による「暴力(DV)」があった場合にも慰謝料が認められます。訴訟で考慮される要素には以下のようなものがあります。
・婚姻期間
・傷害の程度
・暴力の頻度
なお、最近耳にすることが増えた「モラルハラスメント(モラハラ=精神的虐待)」については、事例そのものが少ないこともあり、一般には認められないか、認められても非常に低額になる傾向にあります。
そもそも、民法770条に規定される法律上の離婚原因(「配偶者の不貞行為」「配偶者による悪意の遺棄」「配偶者の3年以上の生死不明」「回復の見込みのない強度の精神病」「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」)がない限り、離婚には相手方の同意が必要となるため、「性格の不一致」やそれに起因するケンカなどについては原則、慰謝料は認められません。
Q.慰謝料を請求するにはどうしたらいいのですか?
A.まずは、当事者間で話し合うのが一般的です。一般的な慰謝料の相場に相手方が同意すれば、その内容を「離婚協議書」に明記しておくとよいでしょう。当事者同士の話し合いで同意しさえすれば、例えば、モラハラを理由に慰謝料が支払われることもありますし、金額についても同意があれば、相場に縛られる必要はありません。
ただし、相場を上回る慰謝料を支払うことに同意する人は一般に少なく、金額について折り合いがつかなければ、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。しかし、調停も相手方の同意が必要となるため、話し合いがつかない場合は、訴訟手続きに進むことになります。(訴訟手続きについては「10.手続き」参照)
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