オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

症状そっくりの「新型コロナ感染症」「風邪」「花粉症」、どう判別する?

新型コロナウイルスによる感染症が懸念されますが、現在は花粉症シーズンでもあります。症状が似ている新型コロナと風邪、花粉症をどう判別すればよいのでしょうか。

その症状は風邪? 花粉症? それとも…
その症状は風邪? 花粉症? それとも…

 新型コロナウイルスによる感染症の懸念が続く中、今年も本格的に花粉症シーズンが到来しました。花粉症は、くしゃみや鼻水などの症状に加え、中には熱っぽさやだるさを感じる人もいます。新型コロナも風邪に似た症状が出ることが確認されているため、「新型コロナなのか、風邪なのか、はたまた花粉症なのか分からない」と判別に悩む人も少なくないようです。

 症状が似ている、新型コロナ、風邪、花粉症の違いをどう判断すればよいのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。

目のかゆみや涙は、花粉症の特徴

Q.まず、新型コロナウイルスによる感染症、風邪、花粉症について、それぞれの症状や特徴などを教えてください。

市原さん「新型コロナウイルスによる感染症は風邪の症状と似ているため、検査をしない限り分かりません。どちらも症状としては、喉の痛みや咳(せき)、痰(たん)、鼻汁や鼻詰まり、発熱、倦怠(けんたい)感などです。新型コロナは、肺炎にまで進行してしまう可能性が通常の風邪より高いといわれています。

一方、花粉症は、主にスギやヒノキなどの花粉によるアレルギー反応によって、目のかゆみや涙、鼻汁、喉の違和感、咳、痰、倦怠感や微熱などの症状があります」

Q.これら3つは症状が似ているようですが、判断基準はあるのでしょうか。

市原さん「先述の通り、新型コロナによる風邪症状と通常の風邪の区別はつきにくいのが現状です。

花粉症の症状で風邪と似ているのは、喉の違和感や咳、痰、微熱や倦怠感です。花粉の刺激によって、喉の違和感やイガイガした感じを自覚することがありますが、痛みまで伴うことは少ないので、両者を判別する判断材料になります。

咳は痰が出ないことが多いですが、炎症が強いと白色+黄色の痰が出るので、風邪の症状と判別しにくいです。発熱や倦怠感も同様に判別するには難しい症状です。ただし、目のかゆみや涙が出るときは花粉症の可能性が高いです。

また、これは治療や予防策でもありますが、『花粉症の症状ではないか』と思ったら、花粉をなるべくシャットアウトして症状が改善するかどうかを見てみるのもよいです。より分かりやすいのは、アレルギー症状を緩和する薬を飲んでみて、症状が改善するかどうかを確認することです。

風邪だと思って風邪の薬を長い間飲んでいてもなかなか症状が改善せず、結局、アレルギーの薬を使うと改善する患者さんがたまにいます。そういう人は、『自分は花粉症になったことがない』『花粉症ではない』と思っていることが多いですが、花粉症はある年から急に発症するものなので注意しましょう」

Q.これらを併発する可能性もあるのでしょうか。

市原さん「風邪と花粉症の併発はあり得ます。風邪をひいている間に、花粉症を新たに発症する可能性は少ないですが、もともと花粉症があり、その上に風邪のような症状が出ることはあり得ます。ただし、それが『風邪を併発している』のか『単に花粉の影響が大きく、花粉症の症状が悪化している』のかは判断が難しいです」

Q.3つの判別がつかない状況で、症状を少しでも緩和するための過ごし方、家族や他人にうつさないためのポイントはありますか。

市原さん「新型コロナが心配される現在は、新型コロナなのか風邪なのか花粉症なのか判断できなくても、風邪のような症状があって症状が軽ければ、自宅で安静にしたり、市販薬で様子をみたりすることが大事な行動です。風邪であれば、1週間前後で治ることが多いので、長引くようであれば花粉症を疑っていいでしょう。

もちろん、風邪でも新型コロナでも肺炎をきたすことがあるため、特に倦怠感や息苦しさなどの症状があるときは肺炎を疑い、帰国者・接触者相談センターに相談しましょう。

軽症の場合、基本的には、自宅で安静にすることが新型コロナの感染拡大を防ぐために求められる行動です。どうしても外出する場合はマスクを必ず着けましょう。家族にうつさないためには、家の中でもマスクを着ける▽タオルなどを共用しない▽同じ部屋で長時間過ごさない▽換気をこまめにする▽一緒に食事をしない――ことなどに注意しましょう」

Q.3つの判別がつかず、また、風邪のような症状も長期間おさまらない場合、どうすればよいでしょうか。

市原さん「現時点で厚生労働省が示している方針では、風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続いた場合、帰国者・接触者相談センターに電話で問い合わせることになっています。高齢者や基礎疾患のある人は2日以上続いた場合が目安です。

それでも、直接病院を受診する人が少なくありません。新型コロナの検査は普通の病院では行っていませんし、病院を受診しても風邪様の症状を抑える薬を処方できるくらいで、根本的に治す方法があるわけではありません。長引く場合、先述のように花粉症の可能性もあります。市販薬で試してみて、症状が明らかに改善する場合は風邪ではなく、花粉症の可能性が高いでしょう」

(オトナンサー編集部)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

eatLIFEクリニック院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。eatLIFEクリニック(https://eatlife-cl.com/)。

コメント