新型コロナで就活激変…「オンライン面接」を突破するには?【就活・転職の常識を疑え】
就活や転職のさまざまな「常識」について、企業の採用・人事担当として2万人超の面接をしてきた筆者が解説します。今回は「新たな常識」になるかもしれない事象について。
ご存じの通り、新型コロナウイルスの影響で企業の採用活動が急激に変化し、各社とも、リアルな場での説明会や面接は軒並みストップしています。一時期、「これで就職活動は停滞するのか?」という臆測もありましたが、筆者の周辺を見る限りでは、逆にどんどんオンライン化が進み、企業も学生も移動時間が減るなどして活動しやすくなり、停滞どころか激化しているように見えます。
オンライン化についていけるかどうかで、企業の採用活動や学生の就職活動の成否も大きく変わることでしょう。
「オンライン面接」の合格率は低い?
会社説明会は比較的一方通行のものなので、オンライン化されてもそれほど変化はなさそうです。問題は面接です。正確な統計はありませんが、気になる話として「オンライン面接の合格率が低い」という情報が一部にあります。
景気後退への不安などの影響もありそうなので、オンライン化だけが理由ではないでしょうが、面接する側もされる側も不慣れな中では、うまくコミュニケーションができず、そのためにオンライン面接で落ちてしまうこともありそうです。
オンライン面接の落とし穴
リアルな面接とオンライン面接の最も大きな違いは何でしょうか。それは「情報量が制限される」ということです。リアルな場での面接であれば、会場への出入り、その際の所作、さりげない会話、表情や声色など、実は多くの非言語情報があふれており、よしあしは別として、面接担当者はそこから何らかの印象を得て、最終的な評価に反映しています。
ところがオンラインの場合は、いきなり正面に向き合った状態から始まり、終わりもブチっと切れるだけです。表情も小さく粗く映るだけの場合もあり、そもそも胸から上しか見えません。声もネットの状況によっては、鮮明でないこともあるでしょう。
そうすると、これまで印象に頼って評価をしてきた面接担当者からすると、情報量が少なくなることで「よく分からない」という状態が生じやすくなります。スキルの高い面接担当者なら、質問力を駆使して、非言語情報が足りない分を言葉から読み取っていくはずですが、残念ながら、日本の面接担当者の多くはスキルがそれほど高くありません。
面接担当者は、自分が面接した人を合格にすると「なぜ、その人を合格にしたのか」を説明しなければなりませんが、落としてしまえば、誰からも理由を問われることはありません。そのため「分からない」となれば「落とす」となりがちなのです。
「キャッチボール」よりも「プレゼンテーション」
そこで筆者のおすすめは、オンライン面接ではリアル面接のときよりも、さらに「プレゼンテーション」的な話し方をするということです。よく面接のアドバイスで「面接はキャッチボールだ」とあります。一方的な会話ではなく、面接担当者が聞きたいことを話しなさいということです。
しかし、理想的にはそうなのでしょうが、キャッチボールができる面接担当者が少ないのが現実です。非言語情報も少ないオンライン面接になれば、そのデメリットがより強化されてしまいます。そのため、情報不足で落ちることのないよう、多少一方的になったとしてもプレゼンテーション的に話す方がよいと思います。
プレゼンテーション的に話すというのは、要は伝えたいことを起承転結一気に話してしまうということです。例えば、「私が学生時代に力を入れたのは、こんな場面で、こんな出来事があった際に、こういうふうに考えて、こんなことを行い、こんな苦労を乗り越えて、こういう結果になりました」というのを全部言うのです。しかも、それをできるだけ具体的に、詳細に、相手がイメージできるように話します。
その際、早口で話してはいけません。オンラインはリアルよりも音が聞き取りづらいのと、一気に速いスピードで話すと理解が追いつかないためです。きちんと間を取り、抑揚をつけて話すようにしましょう。
将来はオンラインが「常識」に?
以上が、現時点でお伝えできるオンライン面接対策の基本です。これを機会にオンライン面接が普通になり、面接担当者や応募者の双方のリテラシーが上がってくれば、また別の常識ができてくることでしょう。
例えば、事前提出書類の質や、時間の長さが変わったり、今はパソコン付属のカメラやマイクを使っているのが、より適切な機材に変わったりするのではないかと思います。オンライン面接で印象を良くするための照明なども出てくるかもしれません。
しかし、それはまだちょっと先の話。まずは、足りない情報量を補うプレゼンテーション力を身に付けるのが大切だと思います。
(人材研究所代表 曽和利光)
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