土地に付いた「宅地抵当権」、抵当権者不明でも抹消できる?
自分の土地に「宅地抵当権」が付いていることが判明しました。しかし抵当権者が見つからない場合、抵当権を抹消できるのでしょうか。
法律の専門家である弁護士が、私たちの暮らしに身近な事象についてわかりやすく解説します。今回のテーマは「自分の土地に付いた宅地抵当権は抹消できるのか」、取材に応じてくれたのはアディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士です。
「数年前、地籍調査をしたところ自分の土地に宅地抵当権が付いていることがわかりました。60年以上前に借金の返済は終わっているはずです。相手が個人だったので、調べてもらったのですが、抵当権者が生きているかどうか、また相続人がいるかなどはわかりませんでした。すぐに土地を売却する予定などはありませんが、自分の代でこの問題を解決したいと考えています。相手が見つからない場合、解決する方法はないのでしょうか。また、抵当権が付いたままでも土地を売却できるのでしょうか」
「住宅用の土地」に対する抵当権
Q.そもそも宅地抵当権とは何でしょうか。
岩沙さん「抵当権とは、通常は不動産に対して、担保権者に不動産を引き渡さないまま、その不動産の有する経済的な価値を、ある債務に対する担保とするものです。債務が返済されない場合に、抵当権者は抵当権を実行し、不動産を競売にかけ、競売代金から優先的に自分の債権の回収にあてることができます。宅地抵当権とは、住宅用の土地に対する抵当権ということになります」
Q.抵当権の付いた土地を売却できますか。
岩沙さん「売却できます。しかし、抵当権は売却によってもなくならず、売却による権利移転に伴ってついていきます(=随伴性)。抵当権の対象となっている債務が返済できなくなった場合には、抵当権者が優先的に自己の債権の回収にあててしまうことから、抵当権の付いた土地は、付いていない土地と比べて相当低い価値しかなく(土地の価値が債権額を下回ってしまう場合もある)、そもそも売れないことや、新たに抵当権を設定してローンを組めないことも多いのです。抵当権はできる限り抹消しておきましょう」
コメント