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長男にしてやられた父の遺産争続教訓に…母が長女に残した「遺言」の意味(上)

家族を亡くして、お金の心配をするのは大変

(2)口座を凍結されても必要なお金を引き出すことができる

「主人のときは、お金を引き出せなくて大変でした」

 和歌子さんはそう回顧しますが、相続の場合、銀行に逝去の事実を伝えると本人の口座は凍結され、お金を引き出せなくなります。和歌子さんは夫が保険に入っておらず、一時金がなかったので、病院の医療費や施設の利用料、葬儀などの費用が発生して困ったそう。これらの費用を立て替えなければなりませんでしたが、大半の預金は夫名義で、和歌子さん名義の口座は限られていました。

 そのため、立て替え分を工面するのに苦労したようですが、故人を亡くして悲しみに暮れている中、お金の心配をしなければならないのは大変です。

 しかし、2018年7月に法律が改正され、口座が凍結されていても遺族が一定の金額まで引き出せるようになりました。具体的には「口座の残高×3分の1×法定相続人の人数(今回は2人)」ですが、残高が少なすぎて立て替え分に満たないようでは困ります。

 筆者は「残高が足りるように1つの口座にまとめましょう」とアドバイスしたのですが、残高を引き出すには、銀行名、支店名、口座番号が必要です。残された長女が、口座の在りかが分からないようでは元も子もありません。そのため、遺言には財産目録を添え、その中に和歌子さん名義の口座をすべて挙げておきました。

※「下」に続く

(露木行政書士事務所代表 露木幸彦)

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露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)

露木行政書士事務所代表

1980年12月24日生まれ。いわゆる松坂世代。国学院大学法学部卒。行政書士・ファイナンシャルプランナー(FP)。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化し行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界最大規模に成長させる。他で断られた「相談難民」を積極的に引き受けている。自己破産した相手から慰謝料を回収する、行方不明になった相手に手切れ金を支払わせるなど、数々の難題に取り組み、「不可能を可能」にしてきた。朝日新聞、日本経済新聞、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインで連載を担当。星海社の新人賞(特別賞)を受賞するなど執筆力も高く評価されている。また「情報格差の解消」に熱心で、積極的にメディアに登場。心理学、交渉術、法律に関する著書を数多く出版し「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷、いずれもメタモル出版)「婚活貧乏」(中央公論新社、1万2000部)「みんなの不倫」(宝島社、1万部)など根強い人気がある。仕事では全国を飛び回るなど多忙を極めるが、私生活では30年以上にわたり「田舎暮らし」(神奈川県大磯町)を自ら実践し「ロハス」「地産地消」「食育」の普及に努めている。公式ブログ(https://ameblo.jp/yukihiko55/)。

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