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名家に婿入りも…「養子縁組」されずに財産を相続できなかった56歳男性の悲憤

妻の実家に婿に入ったことで、養子になったと思い込んでいた56歳男性。しかし、義父の死後、遺産協議に呼ばれることはなく…。

婿入りした男性と義父が養子縁組をしないケースとは?
婿入りした男性と義父が養子縁組をしないケースとは?

 養子縁組をするのは、どのような場面でしょうか。養親と養子との間に血のつながりはなく、もともとは赤の他人です。だからこそ、養親としては自分と同じ姓を名乗らせたり、自分の子として育てたり、自分の財産を譲ったりするには養子縁組が必要ですが、縁組の有無は養子の人生を左右するので慎重に検討したいところです。

 ところで、1人娘が結婚する場合は新郎を婿として迎えることが多いです。新郎が娘の実家を継ぐのだから、娘の父親と養子縁組するのが当然と思われがちですが、本当にそうなのでしょうか。

 相続税の基礎控除額は、3000万円+法定相続人の数×600万円。実子がいる場合、養子は1人に限り法定相続人に加えることが可能です。つまり、養子縁組は節税対策にもなるので、縁組せずに余計な税金を払うのはばかばかしいのですが、父親が娘のことを考えて、あえて婿を養子にしないケースも存在します。

 無条件で養子になり、実家の財産を相続できると思っていた婿は怒り心頭なので、むしろ家庭の不和につながりそうですが、娘の父親は何を考えているのでしょうか。

養子縁組がなされたものと思い込み…

「話が違うじゃないですか!」

 妻の実家へ婿に入ったのは、金子裕二さん(仮名、56歳、会社員、年収700万円)。義父の遺産協議に参加できないことにいら立ち、声を荒らげてしまったようですが、何があったのでしょうか。

 妻の父親は市議会議員を経験したほどの名士で、地元では知らない人がいないくらい。本業は3代続く不動産業で、駅前再開発で多額の収益を上げたであろうことは想像に難くありませんでした。

 父親が挙げた結婚の条件は、両親との同居、重度のリウマチを患う義母の世話、そして、両親の介護という3つですが、裕二さんに断る理由はありませんでした。裕二さんは、婚姻届と同時に養子縁組届(義父と裕二さんの縁組)が提出されているのだと思い込んでいました。

 裕二さんは義父から「手伝ってほしい」と頼まれなかったので結婚後も家業を手伝わず、会社員として勤め続けました。30年間、自分の小遣い(月3万円)を除いて稼ぎの全額を実家に渡し続けたそうです。実際のところ、裕二さんの稼ぎは一家の生活費に充てられたので、これでは逆に婿が両親を養っているようなもの。

 当初25万円だった手取り額は、今では38万円に増えたのですが、裕二さんの小遣いは相変わらず。金子家の資産と比べれば、裕二さんの稼ぎなど微々たるものです。義父が亡くなるまでの辛抱だと思い、どんな仕打ちを受けても耐えてきたのですが…。

 昨年、義父が亡くなり、通夜や葬儀が執り行われたのですが、裕二さんは遺産協議の場に呼ばれず、10カ月が経過しようとしていたので、妻の妹に連絡を入れたのですが、妹が突きつけてきたのは除籍謄本(すでに抹消された戸籍謄本。義父が亡くなる前のもの)。そこには、裕二さんの名前が書かれていなかったのです。「これがお父さんの遺志です。文句はありますか」と妹は相手にしてくれなかったそう。

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露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)

行政書士(露木行政書士事務所代表)

1980年12月24日生まれ。いわゆる松坂世代。国学院大学法学部卒。行政書士・ファイナンシャルプランナー(FP)。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化し行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界最大規模に成長させる。他で断られた「相談難民」を積極的に引き受けている。自己破産した相手から慰謝料を回収する、行方不明になった相手に手切れ金を支払わせるなど、数々の難題に取り組み、「不可能を可能」にしてきた。朝日新聞、日本経済新聞、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインで連載を担当。星海社の新人賞(特別賞)を受賞するなど執筆力も高く評価されている。また「情報格差の解消」に熱心で、積極的にメディアに登場。心理学、交渉術、法律に関する著書を数多く出版し「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷、いずれもメタモル出版)「婚活貧乏」(中央公論新社、1万2000部)「みんなの不倫」(宝島社、1万部)など根強い人気がある。仕事では全国を飛び回るなど多忙を極めるが、私生活では30年以上にわたり「田舎暮らし」(神奈川県大磯町)を自ら実践し「ロハス」「地産地消」「食育」の普及に努めている。公式ブログ(https://ameblo.jp/yukihiko55/)。

注)離婚手続きに関して、個別事情を踏まえた離婚手続きや離婚条件に関する法的観点からの助言が必要な場合は弁護士に依頼してください。

各都道府県の弁護士会
https://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/bar_association/whole_country.html

法テラス
https://www.houterasu.or.jp/

コメント

2件のコメント

  1. なに言ってるんだ?
    嫁なんてみんなそうだよ。
    夫の親の介護をどんなに頑張っても相続できなかったじゃない。
    記事の中にある「法が変わった」という話の前までは、嫁は奴隷だったよ。
    婿だから奴隷にならずに済んでるんじゃない?
    まだましだろ。

  2. 普通、婿養子に来て嫁の親の養子になりますか?その考え方がおかしい。まるで財産狙いに思われても仕方ないですね。嫁が結婚して旦那の親が亡くなっても相続はその妻と子供で分けるのが普通ですよ。
    嫁の財産に半分入るのだからそれが普通です。お金を入れてたり介護したら、少しは要求してみてもらえればいいと思います。初めて聞きました。婿に入って養子になるなんて・・・