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日本にも数百万人? モノを手放せない「ためこみ症」の原因・治療法・周囲の接し方

「ためこみ症」と認めない家族も

Q.「ためこみ症」には、どのような治療法がありますか。

五十嵐さん「抗うつ剤が使われる場合もありますが、主に、モノに対する考え方や信念を、生活を送りやすいように適応させたり、新しい行動を学んだりしていく『認知行動療法』が使われます。

モノの入手、整理・保存、処分のそれぞれに対して考え方や行動を変えていき、モノを手に入れなかったり、特定のアイテムを手元に置いたりしなくても、不安にかられることは起きないと実際に体験してもらいます。これまでとは異なる新しい行動をルーティン化していきます。これには協力者の存在が重要です」

Q.家族に「ためこみ症」の人がいる場合、どのように接すればよいですか。

五十嵐さん「まず、『ためこみ症』がどのような病気であるかを家族が理解することが大切です。本人は病気であることを自覚していない場合が多く、家族とぶつかってしまいます。無理解が原因で強く当たってしまうと悪循環に陥りやすくなります。決して容易なことではありませんが、本人なりの理由から所有物を蓄積しているので、それを理解することが重要です。

一緒に暮らしている家族のスペースもモノでいっぱいになり、使えない状態なので口論になりやすいでしょう。しかし、特定の期間内、たとえば1週間後までに片付けてくれるように依頼し、それまでに使える状態になっていない場合は処分することを冷静に伝えることも一つの方法です。ただし、その方法は専門家のサポートを受けて行った方が効果的でしょう。

絶対にやってはいけないことの一つに、本人の不在中に片づけたり、処分したりしてしまう、ということがあります。本人の了解を得ずに行うと、だまされたと思い、さらに関係性がこじれます。モノを処分する場合は、本人の了解を必ず得なければなりません」

Q.家族が周囲に助けを求めることはできないのですか。

五十嵐さん「SOSを外部に出す家族もいますが、どれだけ大変な状態になっていても、病気、つまり『ためこみ症』だと認めずに、助けを求めない人もいます。隣近所の目などを気にするからかもしれません。しかし、『ためこみ症』の人との同居は安全で衛生的な環境ではありません。火事になる可能性や転倒の恐れ、モノが腐って異臭を放つなど健康にも悪影響を及ぼすからです。

市区町村によっては、こうした事態への対策条例があり、対応窓口があります。例えば、東京都足立区には『生活環境保全課ごみ屋敷対策係』があります。保健衛生局が窓口になっていたり、高齢者であれば地域包括支援センターも相談先になったりするでしょう。精神科医に相談することも一つの方法です」

Q.「ためこみ症」の人がいる家族に、周囲はどのように対応すべきでしょうか。

五十嵐さん「ためこんだものは、私有財産です。そして、モノが道路にはみ出たり庭に氾濫したりしないと周囲からは分かりません。家の外にモノがあふれると、その地区の町内会長などが撤去するよう説得することがありますが、本人は全く取りあわず、敵対関係になりがちです。『何も迷惑をかけていない』と思っていることが少なくなく、対応がとても難しいのです。また、私有財産なので、所有者の了解を得ないと入り込めないという大きなジレンマがあります。行政代執行を行える条例を作らないと、簡単には手を出せないのです。

家族が同居していて、自宅の外からは分からない状態であれば、この状態を自宅外に出すことに家族も強い抵抗感を抱いているかもしれません。あるいは、相談をしたいがどこにしていいのか分からないかもしれません。ごみ屋敷については、足立区のように対策条例を制定する自治体が徐々に増えているので、地元の自治体に相談してみるのも一つの方法です」

(オトナンサー編集部)

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