くまモン批判も…いたずらの“いす引き”に「怖い」「やめて」の声、医師と弁護士に聞く
いす引きの法的問題とは?
それでは、実際にいす引きによって相手にけがをさせてしまった場合、どのような責任を負うのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。
Q.いす引きの加害者はどのような法的責任を負いますか。
牧野さん「加害者に過失が認められれば、過失傷害罪(刑法209条、30万円以下の罰金または科料)になる可能性があります。また、民法709条の不法行為により、発生した損害の賠償を請求される場合があります。
加害者の過失が認められるかどうかのポイントは、大事故になる可能性を予見できたかどうかです。いす引きの場合、加害者側は単なるいたずらで大事に至ることは考えていなかったとしても、打ちどころが悪くて重症になり、後遺症が残ることがあります。
明らかな故意ではなかったとしても、重大な結果の予見可能性があったと判断されれば、その責任を問われ、発生した損害(治療費など)の賠償責任を負う可能性があります」
Q.加害者が子どもであった場合はどうでしょうか。
牧野さん「加害者が14歳未満の場合、刑事責任は問われません(刑法41条)が、民事責任は問われる可能性があります。小学校卒業の12~13歳前後になれば責任能力(自分の行為の結果、法的に何らかの責任が生じるか判断する能力)があると考えられています」
Q.いたずらによるけがについて、過去の事例や裁判はありますか。
牧野さん「2005年7月、インストラクターのアルバイトとして勤務していた30代女性が、事務所で座ろうとした際、上司にいすを引かれて尻もちをついてしまい、半身全体にしびれと激痛が走り動けなくなり、治療後も股関節が動きにくくなる運動障害が残った事件がありました。
女性は当時勤務していたスポーツクラブ(使用者責任)と上司(不法行為)に約2200万円の損害賠償(経済的損害および精神的損害への慰謝料)を求めて鳥取地裁に提訴しています」
(ライフスタイルチーム)
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