つらい「二日酔い」 早めに治すには? 対処法3選&NG行為 消化器外科専門医が解説
二日酔いをできるだけ早めに治すには、どのように対処したらよいのでしょうか。消化器外科専門医に聞きました。
お酒を飲み過ぎた翌日に頭痛や吐き気、胃の不快感などに襲われた経験はありませんか。こうした症状は「二日酔い」といわれており、1日中苦しめられるケースも珍しくありません。二日酔いになった場合、できるだけ早く治すにはどうしたらよいのでしょうか。筑波胃腸病院(茨城県つくば市)理事長で消化器外科専門医の鈴木隆二さんに聞きました。
水だけでなく「ナトリウム」「カリウム」も摂取を
Q.まず二日酔いの原因や主な症状について、教えてください。
鈴木さん「二日酔いは、アルコールが体内で分解される際に発生する『アセトアルデヒド』という物質による毒性作用が原因で起こります。また、アルコールによる利尿作用で脱水が進行すると、症状を悪化させます。二日酔いになったときに生じる典型的な症状は次の通りです」
■頭痛
脱水により脳の血管が収縮・拡張するために起こります。また、アセトアルデヒドが脳の血管に影響を与えることも頭痛の一因です。
■吐き気・嘔吐(おうと)
アセトアルデヒドが消化器に刺激を与えるほか、アルコールが胃酸の分泌を増加させるため、嘔吐や胃の不快感が引き起こされます。
■疲労感・倦怠(けんたい)感
アルコールの分解のために大量のエネルギーを消費するため、体の疲労感が強まります。また、アルコールが睡眠の質を低下させるため、休息が十分に取れず倦怠感が残ります。
■脱水症状
先述のように、アルコールの利尿作用により、体内の水分が過剰に排出され、脱水状態になります。そのため、口の渇きやめまいが生じます。
これらの症状は、アルコールの分解過程で発生するアセトアルデヒドの毒性作用と、アルコールの利尿作用による体液バランスの乱れにより発生します。
Q.では、二日酔いになった場合、できるだけ早く治すにはどのように対処したらよいのでしょうか。
鈴木さん「二日酔いを早く治すためには、次の3つの対処法が効果的です」
(1)水分補給
脱水が二日酔いの主な要因の一つであるため、水分のほか、ナトリウムやカリウムなどの電解質をしっかり補給することが重要です。特に電解質の補給は脱水症状を改善し、体液バランスを整える上で重要です。スポーツドリンクはナトリウムやカリウムなどの電解質を含んでおり、二日酔い時の脱水状態を改善するのに効果的です。
ただし、糖分が多い製品は、血糖値を急激に上昇させる可能性があるため、過剰摂取には注意が必要です。
(2)ビタミンB群と糖分の摂取
アルコールの代謝にはビタミンB群が関与しているため、これを補うことで代謝を助けます。また、血糖値が低下している場合があるため、おにぎりやスープといった軽食、果物で糖分を補給します。
二日酔いの程度によっては食べられないかもしれませんが、ビタミンB群を豊富に含む食べ物、飲み物は次の通りです。コンビニエンスストアやスーパーなどで手軽に購入できるので、摂取してみてはいかがでしょうか。
【ビタミンB群を豊富に含む飲み物、料理】
・栄養ドリンク
ビタミンB1やビタミンB6を手軽に摂取可能。
・豚しゃぶサラダ
豚肉はビタミンB1が豊富に含まれており、野菜も摂取できるため栄養バランスが良い。
・豚肉のしょうが焼き
豚肉にはビタミンB1が豊富。簡単に作れて、主菜として食事に取り入れやすい。
・サバの塩焼き
サバはビタミンB6やビタミンB12が豊富で、手軽に食べられる。
・サバのみそ煮
サバはビタミンB6とビタミンB12が豊富。みそも発酵食品なので腸内環境を整えやすい。
・玄米おにぎり
玄米おにぎりはビタミンB1やビタミンB3が含まれており、通常の白米おにぎりより栄養価が高い。
・チキンサラダ
鶏肉にはビタミンB群が含まれ、サラダで野菜も摂取できる。ドレッシングは油分を抑えたものを選ぶと良い。
・納豆巻きと野菜ジュース
納豆はビタミンB2が豊富で、野菜ジュースでさらにビタミンを補給できる。
・サラダチキンと玄米おにぎり
サラダチキンは高タンパクでビタミンB群も摂取でき、玄米おにぎりでさらにビタミンB群を補強できる。
(3)休息
肝臓がアルコールを分解し、体から毒素を排出するには時間がかかります。できるだけ体を休め、自然な回復を促すことが大切です。
コメント