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【怒り】SNS「モラルないんか」の声続出! 「撮り鉄」10個の迷惑行為に弁護士「全て犯罪です」 実は重い罰則も

マナーやモラルを守らない「撮り鉄」の迷惑行為が問題視されています。こうした行為は犯罪に該当しないのでしょうか。法的問題を弁護士に聞きました。

新型特急「やくも」
新型特急「やくも」

 鉄道写真を撮影して楽しむ鉄道ファンを指す「撮り鉄」。昨今、マナーやモラルを守らない“迷惑”な撮り鉄が問題視されています。4月6日には、同日から運行が始まった新型特急「やくも」(岡山〜出雲)の遅延が発生。報道によると、鉄道ファンに人気の撮影スポットがある区間で「線路内に人が立ち入った」ことが原因であるとし、住民は「撮り鉄だと思う」と話しているということです。

 今回のケース以外でも、撮り鉄の迷惑行為として「畑に侵入」「立ち入り禁止の看板を勝手に動かす」「ゴミ放置」などが問題となることがあり、各鉄道会社は注意を呼びかけていますが、SNSでは「また撮り鉄かよ…」「迷惑すぎる」「モラルないんか」「いい加減にしろ」「ルール守ってる撮り鉄たちが気の毒」など怒りの声が多数上がっている他、「普通に犯罪じゃない?」「撮り鉄=犯罪予備軍のイメージになってきた」「逮捕してほしい」といった声も聞かれます。

 撮り鉄のさまざまな迷惑行為が、犯罪に該当する可能性はあるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

新幹線の場合はさらに重い罰則に

Q.「撮り鉄」による迷惑行為が、犯罪に該当する可能性はあるといえますか。

牧野さん「はい。『撮り鉄』による迷惑行為は、その内容によっては犯罪に該当します。迷惑行為の例として、次の10個を挙げます」

【線路内への立ち入り】

みだりに線路に入って写真を撮ったり、逃げ込んだりする行為は、鉄道営業法違反になります。鉄道営業法では、鉄道地内にみだりに立ち入る行為を「1000円以上1万円未満の科料」の罰則付きで禁じています。

単に線路内に立ち入っただけでなく、列車の往来に危険を生じさせた場合(転覆・破壊させる、線路への置き石など)は、往来危険罪(刑法125条、2年以上の有期懲役)や、過失往来危険罪(刑法129条、30万円以下の罰金)によって罰せられる可能性があります。

また、線路への立ち入りによって鉄道会社の業務を妨害した場合は、威力業務妨害罪(刑法234条、3年以下の懲役または50万円以下の罰金)が成立することがあります。

なお、新幹線の場合、最高速度が時速200キロを超え、線路の立ち入りが非常に危険であるため、鉄道営業法よりも重い罰則がある「新幹線特例法」が適用されます。

(1)新幹線の安全運行を制御するための設備を損壊させる行為は、5年以下の懲役または5万円以下の罰金、これらの設備を操作する行為には、1年以下の懲役または5万円以下の罰金(2)線路上に物を置く・線路内にみだりに立ち入る行為には、1年以下の懲役または5万円以下の罰金(3)新幹線鉄道の走行中の列車に向かって物を投げたり発射したりする行為は、5万円以下の罰金――が、それぞれ科せられる可能性があります。

【駅構内の立ち入り禁止区域に侵入する】

鉄道営業法(37条)で禁止されている、鉄道地内にみだりに立ち入る行為(みだりに線路に入って写真を撮ったり、逃げ込んだりする行為)に該当します。違反した場合、1000円以上1万円未満の科料という罰則があります。

また、軽犯罪法(1条32号)の「入ることを禁じた場所または他人の田畑に正当な理由がなくて入った者」として、拘留または科料に処される可能性があります。

【列車を遅延させる】

先述のように、線路への立ち入りによって鉄道会社の業務を妨害した場合は、威力業務妨害罪(刑法234条、3年以下の懲役または50万円以下の罰金)が成立することがあります。

さらに、列車を遅延させたことで鉄道会社に発生した損害を賠償する責任が発生します(民法709条「不法行為」)。車両の修理代、特急などの場合は遅延による払戻代金、他の鉄道会社やバス会社に支払う振替輸送代などで、少なくても数十万円、多いケースで数百万円から数千万円になる場合もあります。

【駅員の指示に従わない】

「駅員の制止を無視して線路内に立ち入る」「警告を受けても退去せず、運行に遅延や運休を生じさせる」といった行為は、先述の威力業務妨害罪(刑法234条、3年以下の懲役または50万円以下の罰金)で処罰を受ける可能性があります。列車の運行への危険が生じず、往来危険罪などが適用されない場合であっても同様です。

【近隣の田畑などに立ち入る】

先述した、軽犯罪法(1条32号)の「入ることを禁じた場所または他人の田畑に正当な理由がなくて入った者」として、拘留または科料に処される可能性があります。損害が発生した場合には、不法行為(民法709条)による損害賠償請求などの可能性が生じます。

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牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。

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