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“たん”をゴックン…しまった! どんなリスクがある? 医師に聞いてみた

たんを飲み込んだ場合のリスクについて、医師が解説します。

たんを飲み込むとどうなる?
たんを飲み込むとどうなる?

 風邪をひいたときにたんが出ることがあります。たんは基本的に吐き出すのが望ましいとされていますが、つい飲み込んでしまうこともあるのではないでしょうか。たんを飲み込むと、体にどのような影響があるのでしょうか。医療法人社団三橋医院理事長で、医師の藤井崇博さんに聞きました。

高齢者は「誤嚥性肺炎」のリスク

Q.そもそも、たんにはどのような成分が含まれているのでしょうか。

藤井さん「たんは、主に気道から出てくる粘液です。気道は空気が肺に出入りする通り道で、口や鼻などとつながっています。粘液の中には細菌やウイルスのほか、ウイルスと戦った白血球の死骸や大気中のちりやごみなど、さまざまなものが含まれています。

通常、気管支では1日に50〜100ミリリットルの分泌物が産生されます。たんとして作られ、大部分は気付かないうちに胃に流れていきます。ところが分泌物が増えると、気道に絡みついた異物を排出しようと、せきとともにたんが出るようになります。たんが出るのは、異物を体内に取り込まないようにするための人体の防御反応でもあります」

Q.たんを飲み込んでしまった場合、どのようなリスクが想定されるのでしょうか。

藤井さん「食べ物や水分を飲み込む、いわゆる嚥下(えんげ)機能が正常な人の場合、たんを飲み込んでも食道や胃に流れていくので、特に問題ありません。

一方、嚥下機能が低下した高齢者の場合、飲み込んだたんが肺につながる気管、気管支に流れ込む可能性があり、その場合、呼吸困難や息切れのほか、誤嚥(ごえん)性肺炎を引き起こすリスクがあります。高齢者は、たんを小まめに出した方がよいでしょう」

Q.たんはどのような方法で処理するのが望ましいのでしょうか。

藤井さん「危険な感染症にかかり、病院で隔離されている場合を除き、たんは基本的に洗面台に流しても問題ありません。また、たんをティッシュペーパーなどに包み、そのままごみ箱に捨ててもよいでしょう」

(オトナンサー編集部)

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藤井崇博(ふじい・たかひろ)

医師、医療法人社団三橋医院理事長

2012年に東邦大学医学部医学科卒業後、東邦大学医療センター大森病院(東京都大田区)で約10年にわたり臨床、研究、教育に従事。病気の原因の排除や病気のリスクの低減を図る「一次予防」を広めるために、2020年に医療法人社団正恵会 ディオクリニックを開設。2021年に東邦大学大学院医学研究科博士課程修了。同年、医療法人社団正恵会理事長就任。2023年、医療法人社団三橋医院理事長就任。

専門領域は循環器内科。保有資格は医学博士(循環器内科学)、循環器内科専門医、内科認定医。日本循環器内科学会、日本内科学会所属。医療法人社団正恵会 ディオクリニック(https://dioclinic.jp/)。「藤井先生@ダイエット豆知識チャンネル」(https://www.youtube.com/channel/UCwhtmWTYHIjO4mZklz4foyw)。

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