婚活で「結婚不適格者」の女に出会い、人生を狂わされた男たち(上)
「家族カード」で200万円分を利用
英樹さんは彼女を信頼しきっており、しばらくすると同棲(どうせい)を始めたのですが、早々におかしなことが起こったそうです。携帯会社から「大事なお知らせ」と表書きした封書が届いたのです。中身を見てみると「口座の残高が足りず、料金を引き落とせない」とのこと。英樹さんの手取りは毎月30万円で、今まで5万円は貯金していたのでおかしな話ですが、籍を入れた後もトラブルが続いたのです。
「彼女の希望もあり、『家族カード』を作りました。誰でも使えて、クレジット、キャッシュ、カードローン、全部一緒になっているやつです」
英樹さんは、苦虫をかみ潰すように言葉を選びましたが、これが決定的な失敗でした。「とにかくカードの使い方が異常ですよ。管理は大丈夫ですか?」と銀行のオペレーターから電話がかかってきたのですが、英樹さんの知らないところでカードローンの利用額が200万円に膨れ上がっていたのです。家族カードを作ってまだ1年しか経過していないので、オペレーターの女性は心配してくれたのですが、英樹さんは「200万円」という数字に気が動転し、詳細を聞かずに電話を切ってしまいました。
「ふざけるな! 一体何をやっているんだ。誰のカードだと思っている」
英樹さんは彼女へ怒りをぶちまけました。彼女いわく、銀行からの督促状、家賃や公共料金の滞納通知、ローンの明細書などは、ポストに投函されるたびに逐一、処分していたのですが、それだけではありませんでした。英樹さんの知らないところで彼女がハマっていたのは、フリマアプリ。
英樹さんがクローゼットを開くと、クロコダイルのバックや大きなダイヤのネックレス、エルメスやグッチの財布が出てきたのです。これは自分用ではなく「商品」「在庫」で、クローゼットは「倉庫代わり」。多い時は1日20~30品を出品していたのですが、すべて英樹さんのカードで仕入れていたのだから、悪質極まりないでしょう。もちろん、安く仕入れて高く売ることができれば、誰のお金で仕入れようと迷惑はかかりませんが、売り値が仕入れ値を下回ることも多く、在庫を売りさばくたびに赤字が拡大したのです。
さらに「運が悪かっただけ」「すぐには止められない、ちょっと待って」「この指輪が売れれば、挽回できる」と往生際が悪く、自転車操業を繰り返したので、ますます借金が膨らんで、200万円に達したのです。それなのに、彼女から謝罪の言葉はなく、揚げ句の果てには「何か文句あるの! いい加減にして」と逆ギレする始末。
「僕は『この人はおかしい』『ついていけない』と思いました。彼女に見切りをつけたのです。私の人生はギャンブではありません。借金まみれになるのは正常な生活とはいえません。ごめんです」
英樹さんはそう言い残し、1年足らずの結婚生活に幕を閉じたのですが、彼女は結婚と同時に仕事を辞めているので返済能力がなく、彼女が使ったカードローンとはいえカードの名義は英樹さんなので、200万円の借金は英樹さんが返済せざるをえなくなりました。踏んだり蹴ったりです。
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