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サイトで知り合った男の子どもを妊娠した36歳女性、男が妻子持ちで慰謝料の恐怖(下)

慰謝料肩代わりの対象を決める

 ところで、妻の子と里佳子さんの子…どちらの子も産まれながらに平等であってしかるべきですが、法律上、嫡出子(夫婦である男女間の子)と非嫡出子(夫婦ではない男女間の子)は、残念ながら不平等なのが現実です。まず嫡出子の場合、子は夫婦の戸籍に入り、子の戸籍の父親欄には夫、母親欄には妻の名前が記載されますが、必要な手続きは役所に出生届を提出するだけです。

 一方、非嫡出子の場合、子は母親(里佳子さん)の戸籍に入るのですが、この段階では、子の戸籍の父親欄は空欄のままです。父親欄に男性の名前を記載するには、認知という手続きが必要で、具体的には彼が認知届に署名し、役所へ提出しなければなりません。

 慰謝料肩代わりは、出産前と後、認知前と後、(相手夫婦の)離婚前と後で、対処法が変わってきます。肩代わりの対象を「すべての性交渉(A)」「妊娠につながった性交渉のみ(B)」のどちらにすべきか以下にパターン化しました。里佳子さんは「パターン1」だったので(A)を選んだのですが、おのおのが抱える事情は異なります。

【パターン1】<出産前>+<認知前>+<離婚前>→(A)

戸籍や子の存在とは別ルート(電話の着信履歴、メールの受信履歴、LINEのメッセージや写真、SNSなど)をきっかけに妻に勘付かれ、最終的に彼が白状した場合です。または、妻が何も気付いていないのに「彼女(里佳子さん)の存在を知れば諦めてくれるだろう」と勘違いし、すべてを自らカミングアウトした場合です。

こうした自爆作戦は、妻の嫉妬心に火をつけ、ますますかたくなに離婚を拒むので逆効果になります。相手夫婦が離婚する見通しも立たない上に、「旦那は女にだまされている」という感じで妻が里佳子さんへ慰謝料を請求してくるパターンです。

【パターン2】<出産前>+<認知前>+<離婚後>→(A)

出産前に相手夫婦が離婚した場合です。もちろん、離婚前に妻が2人の関係に気付いていなければ問題ありません。一方、離婚前に別のルートで里佳子さんの存在に勘付いており、離婚後、妻が里佳子さんに対して「あなたのせいで離婚した」と慰謝料を請求してくる場合です。

【パターン3】<出産前>+<(胎児)認知後>+<離婚前>→(A)

出産前に胎児認知届を提出した場合、胎児認知は出生届を提出すると同時に有効になるので、まだ彼の戸籍に「認知した」と書かれていません。とはいえ、戸籍や子の存在ではなく、別ルートで勘付かれた場合はパターン1と同じことが起きます。

【パターン4】<出産前>+<認知後>+<離婚後>→(A)

パターン3と同じように、まだ彼の戸籍に「認知した」と書かれていませんが、パターン2と同じく離婚前に妻が気付いていた場合、離婚後、慰謝料を請求してくることが予想されます。

【パターン5】<出産後>+<認知前>+<離婚前>→(A)

妻に認知の事実を知られると、妻がますます離婚に応じなくなるので、無事に出産しても認知届を提出するのは離婚後でしょう。とはいえ、パターン1と同様に、戸籍や子の存在ではなく、別ルートで妻に勘付かれる可能性はあります。

【パターン6】<出産後>+<認知前>+<離婚後>→(A)

パターン5と同様に、彼夫婦が離婚するまで認知届を提出しないでおき、そして彼夫婦の離婚が成立し、いよいよ認知届を提出するタイミングで、妻が慰謝料を請求してきた場合です。パターン3のように、離婚前に妻が気付いていた場合、離婚と同時に慰謝料を請求してくる可能性があります。

【パターン7】<出産後>+<認知後>+<離婚前>→(A)か(B)

妻に認知の事実を知られると、妻がますます離婚に応じなくなるので、認知届の提出を控えていたけれど、なかなか彼夫婦の離婚が決まらないせいで、里佳子さんと彼との関係が険悪になり、最終的に関係を解消せざるをえなくなった場合です。

里佳子さんはこれ以上、彼に遠慮する必要はなく、正々堂々と認知を請求できますが、認知の手続きが完了すれば妻からの慰謝料請求は避けられません。なぜなら、パスポートの更新や、(夫婦間の)子の進学、身内の相続などのタイミングで、妻が夫(彼)の戸籍を見た場合、子の存在や認知の事実、子の本籍地などが書かれているからです。

【パターン8】<出産後>+<認知後>+<離婚後>→(B)

元妻は、子どもの名前で元夫の公的書類(戸籍謄本など)を手に入れることが可能です。彼夫婦の離婚が成立し、認知届を提出したところ、元妻が元夫の戸籍を見て認知の事実や子の存在を知り、慰謝料を請求してきた場合です。

(露木行政書士事務所代表 露木幸彦)

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露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)

露木行政書士事務所代表

1980年12月24日生まれ。いわゆる松坂世代。国学院大学法学部卒。行政書士・ファイナンシャルプランナー(FP)。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化し行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界最大規模に成長させる。他で断られた「相談難民」を積極的に引き受けている。自己破産した相手から慰謝料を回収する、行方不明になった相手に手切れ金を支払わせるなど、数々の難題に取り組み、「不可能を可能」にしてきた。朝日新聞、日本経済新聞、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインで連載を担当。星海社の新人賞(特別賞)を受賞するなど執筆力も高く評価されている。また「情報格差の解消」に熱心で、積極的にメディアに登場。心理学、交渉術、法律に関する著書を数多く出版し「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷、いずれもメタモル出版)「婚活貧乏」(中央公論新社、1万2000部)「みんなの不倫」(宝島社、1万部)など根強い人気がある。仕事では全国を飛び回るなど多忙を極めるが、私生活では30年以上にわたり「田舎暮らし」(神奈川県大磯町)を自ら実践し「ロハス」「地産地消」「食育」の普及に努めている。公式ブログ(https://ameblo.jp/yukihiko55/)。

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