サイトで知り合った男の子どもを妊娠した36歳女性、男が妻子持ちで慰謝料の恐怖(下)
婚活サイトで知り合った男性と交際し、その子どもを妊娠するも、男性から突然、妻子の存在をカミングアウトされ……。男性の妻からの慰謝料請求に怯える、36歳女性のストーリーです。
婚活サイトで知り合った男性と交際し、その子どもを妊娠するも、男性から突然、妻子の存在をカミングアウトされ……。男性の妻からの慰謝料請求に怯える、36歳女性のストーリー。今回はその後編です。
免責的債務引受と履行引受
私は「彼に立て替えてもらったらどうですか」とアドバイスをしました。慰謝料の肩代わり(法律的には「債務引受」といいます)には、「免責的債務引受」「履行引受」などいくつかの種類があります。
まず、免責的債務引受ですが、これは慰謝料の支払い義務が完全に、里佳子さんから彼に移るので安心です。ただ、免責的債務引受には請求者(妻)の同意が必要ですが、まだ離婚も決まっていない段階で「不倫相手の慰謝料」に言及しても火に油を注ぐだけなので、妻を説得するのは不可能でしょう。
次に、履行引受ですが、これは妻の同意は不要なので、今回は履行引受を使うのが適切です。履行引受は免責的債務引受とは異なり、慰謝料の支払い義務が里佳子さんから彼に移ることはなく、里佳子さんには支払い義務が残ります。
ただし、履行引受には、里佳子さんが彼に対して「慰謝料を代わりに支払うよう」請求するのではなく、いったん里佳子さんが慰謝料を支払い、後日、里佳子さんが彼に対して「妻に支払った慰謝料の分を返すよう」請求できる効力があります。里佳子さんがいったん立て替えるかどうかの違いですが、結局のところ、立て替えた慰謝料を彼が里佳子さんに返さなければならないので結果は同じです。
このように、彼から慰謝料肩代わりの約束を取り付けることができればひと安心ですが、どのように彼を説得すればよいのでしょうか。
里佳子さんは、彼から「迷惑をかけない」という言葉がなければ、このまま既婚者の彼と付き合い続けようとは思わず、別れを切り出していたかもしれません。慰謝料肩代わりは「迷惑をかけない」という言葉を具現化したものです。里佳子さんは、この言葉を頼りに「奥さんからの慰謝料も迷惑かけないでよね」と彼に切り出したのですが…。
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