「気を付けて」繰り返しても防げなかった“バス置き去り死”…子どもの命救うには?
「強制的に気付かせる」仕組みづくりを
では、どうすればよいのでしょうか。筆者はハードウエアや情報システムなどを活用して、人間に強制的に「気付かせる」ような対策を行うべきだと考えています。例えばアメリカのスクールバスには、エンジンを切ったらブザーが鳴り、バスの最後尾のボタンを押さなければブザーが鳴り止まない装置がついています。
また、今回事故を起こした園では、スマホやタブレットで出欠席が管理されていたようですが、ホワイトボードとの併用が行われるなど、運用が中途半端であったのかもしれません。出席の打刻がされた時点で保護者にメールが届くような仕組みがあれば、出席連絡が届かない保護者から問い合わせがあり、事故を防げたかもしれません(この場合、「問題があったときに通知が届く」仕組みではなく、「問題がないことを通知する」仕組みが必要です)。
特に新たなシステムを導入しなくても、ドライバーがバス車内の最後尾から写真を撮影して、必ず保護者のSNSグループに投稿する仕組みをつくれば、それだけで複数の保護者のチェック機能が働き、事故防止になります。あるいは、バス乗車時に靴を脱ぐことで、車内に取り残された子どもに気付くきっかけになるというアイデアも出てきています。
要は、人間が「気を付ける」ことに頼るのではなく、機械やシステムをうまく利用して、見落としや通常手順からの逸脱があったときに「強制的に気付かせる」仕組みが必要なのです。言い方を変えれば「エラーを起こしてしまう人間を信用しない対策」を行うべきなのです。
不幸にも事故が起きてしまったときに、エラーを起こした人を断罪するだけでなく、「そもそも人間はエラーをするものだ」という前提に立って、同じような事故を繰り返さないためにはどうすればよいか、検討を重ねるべきです。
その上で「気を付ける」ことに頼らず、確実に事故を防ぐ方法を考え、子どもを預かる施設に対する「通知」ではなく「義務付け」をしていく必要があります。今回の事故の教訓が生かされ、たとえ手順に対する知識の欠如や思い込みがあったとしても、車内に置き去りにされている子どもに確実に気付く対策が「義務」として実施され、悲しい出来事が二度と繰り返されないよう、切に願います。
(近畿大学生物理工学部准教授 島崎敢)




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