中国版“料亭政治”? 習近平氏や「長老」たちが集まる「北戴河会議」とは? 専門家に聞く
「長老」とはどんな人たち?
Q.参加している「長老」とはどのような人たちなのでしょうか。
青樹さん「中国は階級社会で、国家幹部にも階級があります。最も階級が高い幹部は、『正国級』(中央政治局常務委員相当)で、現在22人いるとされます。そのうち7人が現役幹部で、習近平国家主席や李克強首相らの共産党最高指導部の人たちです。引退した正国級幹部の中には、江沢民、胡錦涛両元国家主席らがいて、彼らがいわゆる『長老』です。ただし、誰が北戴河会議に参加するのか、という情報は出ないので、推測するしかありません。
長老たちには、中央政府から割り当てられた保護が終生続きます。幹部の退職後の待遇は、法律で事細かに決められていて、例えば大臣クラスなら家や車が支給され、飛行機はファーストクラス、泊まるのは高級ホテル、医療関係もすべて保障されています。
ちなみに、私は以前上海で、江沢民氏の住居とうわさされていた豪邸を見たことがあります。高い塀に囲まれたお城のような豪邸で、周囲を一回りするだけで疲れるくらいでした。近くの公園の遊歩道には緑のマットのようなものが敷かれているのですが、『江沢民氏が散歩するために敷かれている』といううわさがありました」
Q.習近平氏は国家元首ですが、長老の意見には従うのが通例なのでしょうか。
青樹さん「政治は一人ではできません。ただ、会議というよりは意見交換の場という感じで、どういう雰囲気になるのかが大事なようです。表立って、長老の意見に従ったり反対したりではなく、長老が意見を出し合って、現政権に対してどのような雰囲気をつくりあげるかで、今後の政治運営方針が決まってくるようです。協力ムードか敵対ムードかが、習近平氏の今後に影響すると思われます」
Q.毎年、北戴河会議は開かれているはずですが、今年は特に注目されているように思います。
青樹さん「今年は5年に一度の共産党大会を秋に控えているので、いつもより敏感になるのは避けられません。議題も多いはずです。習近平氏の3選は既定路線で、北戴河会議で何が起きても覆ることはないと思いますが、その他、ウクライナ情勢や米中関係、中国経済の悪化、ゼロコロナ対策、ウイグル問題など、問題は山積です。
中国の報道の第一人者と言われるジャーナリストに聞くと、最大のポイントは最高指導部の陣容で、誰が何を担当するか、党の制度自体をどうするか。そして最も注目されるのが、習近平氏の地位をこれ以上高くするのを容認するのか、なのだそうです。
毛沢東氏並みに習近平氏を『個人崇拝』させる動きがありますが、そうした事態について、北戴河会議で長老たちの意見を対面で聞かなければなりません。表立って反対の声が出てくると、尻すぼみになる可能性もゼロではない。ただ、正式な会議ではないので、習近平氏の地位について採決をするわけではありません。
北戴河会議では、想定外のことが起きるときがあります。先ほどのジャーナリストの話では、2012年、胡錦涛氏の時代に、政府幹部の一人の息子が交通事故死をして、その事故死の処理が北戴河会議で批判され、胡錦涛氏が力をそがれたという事例があります。
北戴河会議は想定外のことが起きるので、注目せざるを得ないのです。もっとも、今年はコロナ禍で例年以上に北戴河に近づくのが難しく、ますます秘密会議の性格が強まるのではないかと思います。終了後(いつ始まるか、いつ終わるかも不明ではありますが…)の様子でうかがい知るしかないので、記者の力量が重要となります。まさにすべてにおいて、“やっかいな秘密会議”だと言っていいでしょう」
(オトナンサー編集部)





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