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歯が欠けた! 放置するとどうなる? 歯科医師に聞いた

欠けた歯、病院に持参しないとダメ?

Q.歯が欠けてしまったら、どうすればいいですか。欠けた歯は持っていかないとだめでしょうか。

宮本さん「基本的には、なるべく早く歯科医院に行ってください。歯が割れたように欠けた際には一応、欠けた歯を持って来てください。欠けた歯を活用して治療することはほとんどありませんが、欠けた歯の状態から治療方法を検討できます。なお、米粒のように歯の一部が欠けたときは、歯科医院に持ってくる必要はありません。

残っている歯がグラグラしたり、位置がズレてしまったときには、かんだり自分で戻したりすると症状がさらに悪化するので、そのままの状態で歯科医院を受診しましょう。歯全体が抜けた際は、歯が乾燥しないよう濡れたガーゼに包み、根の部分は触らないようにして持っていってください。もし、すぐに受診できないときは、フッ素化合物配合の歯磨き粉や洗口液を使って、虫歯予防に努めましょう」

Q.歯が欠けた場合、どんな治療を行うのですか。

宮本さん「欠けた部分が小さく、エナメル質の範囲内である場合は、詰め物をするか、形を整えて表面を磨きます。象牙質まで及んだ中等度の場合には、詰め物で形を回復します。歯の欠けが大きく、歯の神経の治療が必要な場合では、『神経治療→土台治療→かぶせ治療』と順を追って歯全体の治療をします。

残っている歯がグラグラしたり、位置がズレたりしているときは、残っている歯を安定させる治療を先行してから、欠けた歯の治療に進みます。歯が抜けてしまった場合は、歯が抜ける前の状態に戻す『再植術』という治療を試みます。成功(歯が固定)すれば、神経治療から始め、歯の形を直していきます。骨までダメージが及んでいるケースでは、骨と歯の固定が必要となるので、歯にギブスを巻く治療を行います」

Q.歯が欠けないようにするための日常的な注意点とは。

宮本さん「前歯はぶつかりやすく、力が集中して欠けやすくなります。スポーツをするときは、マウスガードを装着して歯を守りましょう。また、かみ合わせがいびつだと奥歯が欠ける原因になるので、歯科医院でかみ合わせの調整をしてもらうことも大切です。

意外と知られていないのが、歯の治療内容によって欠けやすい状態になっている可能性があることです。保険治療の銀歯(金銀パラジウム)治療はその代表で、歯が欠けるリスクが高いのです。銀歯は歯にセメントでつなげているのですが、このセメントは隙間を埋めているだけで、歯の強度は低下したまま、形だけを回復させるものです。一方、歯と相性のよいセラミック治療で使用するセメントは、歯とセラミックを接着して一体化させるので、歯の形も強度も蘇ります。治療を選択する際には、歯科医院でよく相談して決めてください」

(オトナンサー編集部)

【イラストで解説】欠けた歯を放置すると危険! 虫歯が進んでボロボロになることも

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宮本日出(みやもと・ひずる)

歯科医師、歯学博士

1965年、金沢市生まれ。愛知学院大学歯学部を卒業後、石川県立中央病院、豪アデレード大学、明海大学を経て、2007年、埼玉県志木市で幸町歯科口腔外科医院を開業し、現在に至る。2015年から、埼玉医科大学麻酔科非常勤講師。2017年、立教大学大学院でMBA取得。金沢大学医学部で感染制御学を研究したこともあり、「えっ!? まだ始めていないんですか? お口からの感染予防」(ギャラクシーブックス)など多数の臨床関連著書のほか、「サンタはなぜ配達料をとらないのか?」(VOICE)など仕事論の著作も執筆。

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