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子の泣き声が“虐待”の証拠と勘違いされ、近所の人から「警察へ連絡する」と手紙が…どう行動すべき?

子どもの夜泣き声が「虐待」によるものと勘違いされ、近所の人から「警察へ連絡する」と書かれたメモを渡されてしまった――。妻と小さな子どもを育てる夫の投稿がSNS上で話題となっています。

子どもの泣き声が虐待によるものと勘違いされ…

 子どもの夜泣きと苦情について先日、SNS上で話題となりました。夫婦で生後4カ月の子どもを育てているというマンション住まいの男性が「本日、以下のような紙がポストに入っていました」というコメントとともに、「毎日、泣き声が上まであがってきます。もしかして…?!けいさつへ連絡しますよ」と書かれたメモ用紙の画像を投稿。「夜泣き等、大変ですが二人で必死にやりくりしています。(中略)とても悲しい思いをしました」と訴えかけました。これを受けて「近所の人は虐待かどうか判別つかないし、ある程度はしゃーない」「近所付き合いがないとこうなるよね」「いずれにせよ、こんな手紙ポストに入ってたら嫌だろ」など、さまざまな声が上がっています。

 こうしたケースで「虐待」を疑われた場合、どのように振る舞うのが最善でしょうか。オトナンサー編集部では、グラディアトル法律事務所の刈谷龍太弁護士に聞きました。

“無実”の通報や通告は増加している

Q.今回のケースで虐待を疑われた投稿者が取るべき最善の行動は何でしょうか。

刈谷さん「このケースの投稿者のように、実際には虐待していないにもかかわらず虐待を疑われると、やるせない気持ちになってしまうでしょう。ただし、第三者からみると単なる夜泣きなのか、それとも虐待によるものなのか、はっきりしない場合が多いのも事実。そのため、このケースのように虐待の事実がないにもかかわらず、警察への通報や福祉事務所・児童相談所への通告がなされるケースが近年増加しています。今回の投稿者としては、虐待の疑いを晴らしたいと考えているかもしれませんが、残念ながら、虐待の疑いを晴らすための手続きは法律上存在しません。従って、このケースで虐待を疑われた投稿者がなすべき最善の行動は、近隣住民からの手紙のことは気にせず、毅然とした態度を取ることだと思います。しっかりと普段通りに行動していれば、子どもを愛する親の愛情も自然と周りに伝わり、嫌な思いをすることもなくなると思われます」

Q.仮に「虐待がある」と警察に通報された場合、その後どういう展開が想定され、投稿者としてはどう行動すべきでしょうか。

刈谷さん「この場合、警察としては、お子さんの安全を確認するために自宅マンションを訪れたり、近隣住民に聞き込みを行ったりすることが考えられます。その結果、児童虐待があると疑われてしまうと、児童相談所の職員による自宅への立ち入り調査や出頭要求、場合によっては臨検や捜索など強力な処分が行われることも考えられます。こうした場合、虐待を疑われた投稿者としては、警察や児童相談所の職員らにありのままの事実を伝え、虐待していないことを訴えるべきでしょう」

(オトナンサー編集部)

刈谷龍太(かりや・りょうた)

弁護士

1983年千葉県生まれ。中央大学法科大学院修了。弁護士登録後、都内で研さんを積み、2014年に新宿で弁護士法人グラディアトル法律事務所(https://www.gladiator.jp/)を創立。代表弁護士として日々の業務に勤しむほか、メディア出演やコラム執筆などをこなす。男女トラブル、労働事件、ネットトラブルなどの依頼のほか、企業法務において活躍。アクティブな性格で事務所を引っ張り、依頼者や事件に合わせた解決策や提案力に定評がある。

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