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芸人“闇営業”問題、吉本経営陣の処分「減俸50%を1年間」は重い? それとも軽い?

吉本興業所属芸人による闇営業問題で、会長と社長が「減俸50%を1年間」の減俸処分を科しました。この処分は、重いのでしょうか、軽いのでしょうか。

記者会見する吉本興業の岡本昭彦社長(2019年7月、時事)
記者会見する吉本興業の岡本昭彦社長(2019年7月、時事)

 吉本興業所属芸人による闇営業問題で、同社の岡本昭彦社長が7月22日に記者会見、大崎洋会長とともに、今回の問題の責任を取って50%の減俸を1年間続けると明らかにしました。企業で不祥事が起きたとき、経営陣の責任の取り方としては、引責辞任や給料の減額があります。一般社員の減給は労働基準法で限度額が規定されていますが、経営陣など役員は同法の対象外で、何を基準に減俸額が決まるのかはっきりしません。

 今回の吉本興業の減俸処分は、重いのでしょうか、あるいは軽いのでしょうか。企業法務や労働関係の法律に詳しい、グラディアトル法律事務所の刈谷龍太弁護士に聞きました。

法的規制とは無関係に減額か

Q.経営陣の減俸額は、誰が何を基準にして決めるのでしょうか。経営陣自ら決めることもあるのですか。

刈谷さん「経営陣(会社法上の取締役)の報酬は、定款あるいは株主総会の決議で定めるとされています(会社法361条)。報酬額は、会社と取締役の間の委任契約となり(会社法330条、民法648条)、取締役を退任するまで継続します。そのため、取締役の報酬は、定款あるいは株主総会の決議で定められると、決まった報酬が払われることが保証されます。

しかし、該当する取締役の同意がある場合や、委任契約や社内規定に減額の定めがある場合は、報酬の減額を自ら決めることも可能になります。ただ今回、吉本興業の会長と社長が『減俸50%を1年間』と決めたのは、会社として決定したというよりは自ら減俸を申し出たケースなので、こうした法的規制に服することなく減額できたのではないでしょうか」

Q.さまざまな不祥事があり単純に比較できませんが、企業で不祥事が発生し、取締役が減俸という責任の取り方をするとき、どれくらいの減俸額(割合)が一般的なのでしょうか。事例も含めて教えてください。

刈谷さん「それぞれの企業によって不祥事の種類や規模は異なりますが、一般的に減額の割合は10~30%、減額期間は2~3カ月の企業が多いです。下記は、直近1年で報道された大手企業の減額事例の一部です」

【大手住宅メーカー】

防火安全性の基準を満たしていない賃貸住宅が見つかるなどの相次ぐ不祥事が発生。取締役の賞与を一律2割減額、取締役の報酬を2カ月間、1~2割削減。

【大手私鉄の子会社】

社員がJRの発券業務を悪用して団体旅行で不正乗車を繰り返していた問題。社長の役員報酬を3カ月間、月額30%を減額するなど、役員7人を処分。

【大手証券会社】

元社員が関与したとされるインサイダー取引事件に関し、管理責任を問われる。社長と会長の役員報酬の20%を2カ月減額、役員2人も報酬減額。

【大手航空会社】

副操縦士の酩酊(めいてい)事件で、代表取締役社長は月額報酬20%減を3カ月間、取締役専務執行役員運航本部長も月額報酬10%減を3カ月間。

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刈谷龍太(かりや・りょうた)

弁護士

1983年千葉県生まれ。中央大学法科大学院修了。弁護士登録後、都内で研さんを積み、2014年に新宿で弁護士法人グラディアトル法律事務所(https://www.gladiator.jp/)を創立。代表弁護士として日々の業務に勤しむほか、メディア出演やコラム執筆などをこなす。男女トラブル、労働事件、ネットトラブルなどの依頼のほか、企業法務において活躍。アクティブな性格で事務所を引っ張り、依頼者や事件に合わせた解決策や提案力に定評がある。

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