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コロナはイニシアチブを取り、シミュレーションすべきだ! これからの生き方のヒント

最も必要なスキルはイニシアチブである

 イニシアチブとは、将来のニーズやチャンスに対して行動を起こすことの度合いを表します。新型コロナ感染拡大にあわせて分かりやすく解説してみます。

 最も簡単なイニシアチブは「すぐに行動すること」です。実際の行動に当てはめてみましょう。今、全国でコロナウイルス感染拡大の影響により、緊急事態宣言が発令されています。今、何が起こっているのかを把握するため、「新聞等を通じて関連する記事を集めた」などが該当します。

 イニシアチブの難易度が上がってくると、数カ月先の変化を考えて行動するようになります。特定のチャンスや問題を予測し、準備するようになるからです。これが可能になると、自らがチャンスをつくったり、将来の危機やリスクを避けるために率先して行動を取るようになります。

 例えば、新型コロナ感染拡大のシミュレーションをして、予想されるチャンスやリスクに対策を講じるなどが挙げられます。「将来を見通して、ワクチンに関連する業務提携を行う」「ワクチンが提供されないリスクを考えて、主要な医薬メーカーにワクチン開発の依頼をする」などが挙げられます。

 さらに、最高難易度のイニシアチブになると、全体像を描ききり、ブレークダウンすることが可能です。例えば、「新型コロナ感染が完全に収まるのは1年先になると結論付けた」などが挙げられます。

 五輪開催に当てはめるなら、IOCに開催がリスクであることや、1年先に延期することで収益性が上がることのメリットを説明し、開催延期の承諾を取り付けるなどが挙げられるでしょう。自分の描くシナリオに周囲や環境までも変えていくレベルですから、かなり高い能力が必要とされます。

 今、五輪開催に多くの人が反対を表明しています。IOCの「五輪成功には犠牲が必要(sacrifice to pull off these Olympics)」という発言にも違和感を覚えます。五輪憲章に反する考え方だからです。IOCを説得するには日本がイニシアチブを取って交渉するしかありません。なお、7月に五輪が無事開催されているシミュレーションを私は描くことができません。

(コラムニスト、著述家 尾藤克之)

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尾藤克之(びとう・かつゆき)

コラムニスト、著述家 尾藤克之

コラムニスト、著述家。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。代表作として『頭がいい人の読書術』(すばる舎)など21冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も絶賛公開中。

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