オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

「産後クライシス」とは? 家事を押し付けられる妻、感謝されない夫…どうすれば?

出産を機に夫婦の関係が急激に悪化する「産後クライシス」。その危機に直面した妻と夫、それぞれの言い分は?

「産後クライシス」、夫婦の言い分は?
「産後クライシス」、夫婦の言い分は?

「産後クライシス」とは、出産を機に夫婦の関係が急激に悪化することをいいます。初めての子どもを授かり、幸せいっぱいに見える家族の姿の裏で、実は妻のメンタルが危機的な状況に陥り、夫との関係が悪化するケースは珍しくありません。

 産後の夫婦関係がざわつくことに関してはさまざまな研究論文が出ていますが、どれも、親になることで夫婦間の親密性が下がる傾向にあることを示しています。ベネッセ教育総合研究所が夫婦約300組を4年間、継続調査した結果でも、夫を「本当に愛していると実感」している妻の割合は妊娠期から0歳児期の間に74.3%から45.5%に急落し、その後もどんどん減る傾向にあります(「妊娠出産子育て基本調査」2006~2009年)。

 子育てが始まることで2人の気持ちに余裕がなくなり、お互いに気遣いが足りなくなったり、意識の違いが浮き彫りになったりと、産後の妻と夫にはこれまでと打って変わった状況が待ち構えます。24時間、赤ちゃんの安全を確保しながら育てていくことはかなりのストレスである上、どうしても母親側に負担がかかりがちです。それは「ワンオペ育児」という言葉が、夫が子どもに向き合う時間が圧倒的に少ない背景から生まれていることからも明らかです。

 産後、やるせない気持ちになる妻たちとその夫たち。それぞれの声を拾ってみました。

夫も妻も「言い分」はあるけど…

【妻の言い分】

 穂乃花さん(28歳、仮名)が最も納得いかないのが夫の家事分担です。

「共働きだったので、産休前はそれなりに2人で家事を分担していました。ところが、私が産休・育休に入った途端、夫は次第に自分の担当の家事をしなくなりました。『今は専業主婦で家にいるんだから、家事は君の仕事でしょ』と当たり前のように言い放ちます。

うちの子は抱っこしていないとぐずりっぱなしで、ベッドや床に寝かせた途端にギャン泣き。そのため、ご飯の支度と洗濯はベビーキャリーでおんぶしながらやっています。おんぶしていてもバタバタ動くので、肩こりと腰痛のダブルパンチ。寝かしつけたときにフッと涙があふれます。

この前、シンクに洗い残しのお皿があったことで『一日家にいて、何してたの?』と言われました。夫の無理解ぶりに、怒りを通り越して絶望的な気持ちになっています」

 春菜さん(30歳、仮名)は“指示待ち夫”にイライラしています。

「娘のハナ(仮名)が泣いているのを見ても、夫は『ママ~、泣いているよ』と私を呼ぶのみ。自分で娘をあやしたり、オムツを確認したりはしません。

『教えた通りにやってみてよ。自分で何とかできるでしょ』と言っても『僕じゃ、うまくできないよ。勝手にやったら、やり方が違うって言うでしょ。1回教えてもらったくらいじゃできないよ』って開き直ったように言うんです。その上、『ハナちゃんだって、慣れているママにやってもらう方がいいよねえ』なんて、これ見よがしに言います。

子育ては私だけの仕事じゃなくて夫婦の仕事なんだから、指示待ちばかりではなく自分で考えて行動してって感じです」

【夫の言い分】

 和希さん(35歳、仮名)は妻の感情に振り回される戸惑いを口にします。

「産後はホルモンバランスが乱れるらしいので仕方ないのかなと思うんですが、妻の感情の起伏が激しくて、ついていけません。いつも何かにイライラしていて、急にボロボロと涙を流したり、黙り込んでしまったり。話し掛けても無視されることもあります。

子どものこともできるだけ手伝おうと思って、ミルクを作ろうとすると『手を洗え』だの『温度が高すぎる』だの『手順が違う』だのと怒り出し、それならと怒られないようにやり方を聞くと、今度は『そんなことも知らないの? 育児雑誌を読んでって言ったでしょ』とにらまれる。言いたいことがあるなら口に出して言ってもらわないと分からないですよ」

 耕太さん(36歳、仮名)は妻から感謝の言葉がないことが不満です。

「僕は自分なりによくやっている方だと思っているんですが、全然感謝されていないんですよ。育休だって上司から、『うちの会社史上、最長だな』と嫌みを言われながらも頑張って、出産の日から10日間も取りましたし。でも、嫁は『○○さんの旦那さんは1カ月も取ってくれたんだって。いいよねえ』とバッサリ。“育休当然”って顔ですよ。

オムツ替えだって積極的にやっています。『オムツ替えておいたよ』と嫁に言ったら、『当たり前のことをやっているのにドヤ顔で報告しないでよ』とキレる。一体、どうすればいいんですかね。こっちだって、仕事から帰ってきて疲れているのに自分だけが疲れているような顔をされて、イラッとします。子どもはかわいいから、顔を見てプラマイゼロを目指しています。嫁のことは嫌いになりそう…」

短時間でも「癒やし」を

 自分では当たり前、普通と思っているような小さなことでも、ちょっとした言葉や態度の積み重ねがすれ違いを広げ、気が付くと深刻な夫婦の溝になっていることがあります。お互いに感謝する気持ちはあっても、毎日繰り返される子育ての日常に埋もれてしまい、やがて、「ありがとう」という言葉すら出てこなくなることも起こり得ます。

 妻側は妊娠で1年近くも自由に動けなかった上に、大変な思いで痛い出産に臨みます。退院した途端、大して育児にコミットできない夫が目に付けば、「私だけが大変だ」と考えがちです。女性のお悩み相談でよく聞かれる言葉が「私だけが損している」ですがまさに産後、「夫は楽している」と錯覚するのかもしれません。夫だけのせいにせず、ホルモンバランスのせい、慣れない育児のせい、夜中に眠れていないせい…といら立つ要因を複数挙げてみましょう。

 一方、夫側は決してイクメンぶらないことです。「俺はこんなに(育児を)やっている。すごい」と思っても、妻から見ると「私の方が100倍大変」なのですから、おごり高ぶる態度を取ると鼻につくのでご用心です。パパもママも最初は「子育ての新人」ですから、うまくいかないことがあって当たり前。「赤ちゃんが泣いても大丈夫。元気な証拠だ。よしよし」と、おおらかな気持ちに切り替えてください。

 産後の育児期間はお互いに、それまでできていた趣味やグルメなどストレス発散の時間が削られる時期なので、赤ちゃんが寝ているときに2人でできる短時間の“ショート癒やし”を編み出すのもおすすめです。お互いに首のマッサージをする、ハーブティーを一緒に飲む、お笑い動画を1本見る、ポーカーをする…などなど、ショートタイムでホッとできることを見つけてみてください。

 産後の怒涛(どとう)の時期には必ず終わりが来ます。子どもが中学生になる頃には、怒涛だったこともすっかり忘れますので、その日を夢見てファイトです。

(「恋人・夫婦仲相談所」所長 三松真由美)

三松真由美(みまつ・まゆみ)

恋人・夫婦仲相談所 所長(すずね所長)・執筆家

夫婦仲・恋仲に悩む女性会員1万3000名を集め、「結婚・再婚」を真剣に考えるコミュニティーを展開。セックスレス・ED・女性の性機能に詳しく、性を通して男女関係をよくするメソッドを考案。20代若者サークルも運営し、未婚世代への結婚アドバイスも好評を呼ぶ。恋愛・夫婦仲コメンテーターとしても活躍中。著書は「夫婦の『幸せ循環』を呼ぶ秘訣」(講談社)「モンスターワイフ」(同)「40歳からの女性ホルモンを操る53の習慣」(扶桑社)「堂々再婚」(wave出版)など多数。コミック「『君とはもうできない』と言われまして」(KADOKAWA)の監修も手掛ける。恋人・夫婦仲相談所(http://fufunaka.com/)、公式LINEアカウント(https://lin.ee/oTQa13s)、公式note(https://note.com/suzune_16)。

コメント