オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

時間管理も片付けも 子どもは口ではなく“視覚”に訴えるとしつけやすい

隅々まで掃除させるには?

掃除前に部屋の隅まで色紙をまく(筆者撮影)
掃除前に部屋の隅まで色紙をまく(筆者撮影)

 電車やバスの中で子どもが騒いだとき、「静かにしなさい」「もう少し小さい声でしゃべりなさい」と言っても、子どもにはボリュームの加減が分かりにくいものです。最近では、設定された音声レベルを超えると画面上の動物が怒ってほえるなど、感覚的に伝えることができるアプリもあるので、上手に取り入れてみるのも一手です。

 子どもがトイレットペーパーをたくさん使ってしまうとき、水を何度も流すときは使ってほしい長さのペーパー、そして、「水は1回だけ」と書いた紙を壁に張っておくと、子どもが視覚的に分かりやすくなりますよ。

 掃除をするとき、「四角い部屋を丸く掃く」人がいます。しかし、これでは部屋は隅々まできれいになりません。子どもにお手伝いをさせるとき、肉眼で見えないほこりを、どうやって隅々まできれいにするか理解させるのはハードルが高いです。そんなときは“目に見えるほこり”を作ると効果的です。

 写真のように色紙を小さく切って、部屋中にばらまきます。このとき、部屋の隅までまくのがポイントです。そして、子どもに「掃除機でこの色紙を全部吸い取ってね」と言ってください。最初から完璧にはできないかもしれませんが、何日か練習すると、子どもは隅々まできれいに掃除機をかけられるようになります。

 これができるようになったら、「今日から色紙はないけれど、床には目に見えないほこりがたくさんあるのよ。さあ、この部屋をピカピカにできるかな?」と言ってやらせてみましょう。掃除後、ごみパックを開けて、「ほら、こんなに吸い取ったね。上手に部屋の隅々まで掃除機をかけられたね。上手になったね」と集まったほこりを実際に見せて褒めましょう。

 ここまで、子どものしつけの話として説明してきましたが、実は大人の世界でも同じようなことをしています。講演会に参加して、講師が2時間ずっと話をしていたら、きっと睡魔が襲ってくるでしょう。会社の会議でも同様です。しかし、現在は講師が聴衆を飽きさせないように、便利なプレゼンテーション用ソフトを駆使する人が多くなっています。

「目で見る情報」を上手に活用すれば、子どものスムーズな理解を促し、効果的にしつけることに役立ちます。工夫次第でさまざまなシーンに応用できる「視覚に訴えるしつけ」を試してみてくださいね。

(子育て本著者・講演家 立石美津子)

1 2

立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)、Voicy(https://voicy.jp/channel/4272)。

コメント