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夫婦は“赤の他人” 子どもの「しつけ」で衝突したら、どうすべき?

夫婦はいろいろな問題で衝突することがあります。特に、子どものしつけに関して意見が違うと、なかなか妥協するのも難しいようです。どのようにすればよいのでしょうか。

子どものしつけで意見が衝突したら…?
子どものしつけで意見が衝突したら…?

 夫婦はもともと、「赤の他人」です。そのため、結婚後同居してみて初めて、「ああ、こんなふうにするんだ」と新たな発見があったり、イライラしたりすることもあります。「トイレのふたは開けたまま/その都度閉める」「シーツの洗濯頻度は毎日/週1回/月1回」「食事のとき、テレビをつける/消す」「履いていない靴は靴箱にしまう/出したまま」など、数えだしたらきりがありません。

 しかし、こうしたことについては譲り合ったり、目をつぶったりできても、子どものしつけに関しては「黙っているわけにはいかない」と考える人も多いのではないでしょうか。

離婚の原因となるケースも

 夫婦間の問題なら、相手とぶつかることがストレスになるだけなので「自分が折れて我慢すればいい」とグッと心の中に抑え込む人もいますが、大事なわが子の子育てとなるとそうはいきません。そして、「子どもの将来のためにこれは言わなくてはならない」と相手に指摘することにより、夫婦げんかになることもあります。「子どもの教育に関する意見の相違」が離婚の原因になるケースも多いです。

 しかし、元をたどれば、夫も妻も見ている方向や目的は同じで「子どもに幸せな人生を送ってほしい」と思っているはずです。ただ、方法論が違うだけです。そうした意味では会社の会議と似ているかもしれませんね。社員の皆が「会社のためにこの商品をどうやって売っていけばいいのか」と思っていても、その方法に関する意見の相違は起こり得ることです。

 では、実際に子どもへの接し方が夫婦間で異なっていたら、当の子どもはどうなるのでしょうか。

 例えば、「出された食事は残さず食べなくてはならない」と叱るママに対して、パパは「嫌いなものなんか無理して食べる必要はない」と許すケース。ママは携帯ゲームを禁止したいのに、パパは子どもの目の前で食事中も携帯ゲームをしていて、悪い手本になっているケース。ママは「甘いお菓子や添加物が入ったものはできるだけ食べさせない方針」なのに、パパは「子どもが欲しがれば、甘いお菓子を与え、子どもの目の前でソフトクリームや添加物の多い菓子を食後に毎日食べている」というケースもありそうです。

 さて、「夫婦両方が子どもに厳しく接すると子どもの逃げ場がなくなる」という話を聞きます。母親が厳しく叱った後、父親からも同じように厳しく対応されると子どもは行き場がなくなります。主に叱る役目は日中、子どもと長く過ごすことの多い方の親になりますが、例えば、それが母親だった場合、子どもが「ママに怒られた」と父親に泣きついたとき、「ママは怒ってばかりいるね、厳し過ぎるね」と正反対のことを言ってしまったら、母親だけが悪者になります。そして、さらに、子どもは相手によって態度を変える悪い学習をしてしまいかねません。

 そんなときは「なぜ怒られたか、よく考えてごらん。ママの言う通りじゃないかな?」とさりげなく片方をフォローしながら、叱られて助けを求めてきた子どもを受け止めるのです。これなら、父親と母親の方針が一致していることになります。

子どものため家族会議を

子どもに好き嫌いがあったら?(C)あべゆみこ
子どもに好き嫌いがあったら?(C)あべゆみこ

 しつけの方法論が夫婦間で異なっていたら、子どものために家族会議を開きましょう。

 まずは「子どもの将来を見据えた、わが家のしつけの基準」「甘いお菓子を与えることについて」といったテーマを設定します。そして、「出したものは残さず全部食べるようにしつけをしたい。なぜなら…(ママ)」「食べたくないのに無理強いしたら、楽しいはずの食事の時間が台無しだ。なぜなら…(パパ)」など、それぞれの考えや言いたいことを全て吐き出してから話し合うのです。そうして進めていくと、こんな結論が出るかもしれません。

「では、子どものためにはどうすればいいだろう。食べ切れない量を器に盛るのはやめ、無理なく食べられる量を食卓に出して、残さず食べる習慣を付けさせよう。そして、苦手な食べ物は1口だけ食べたらOKとしよう」

 家族会議を進める上で大切なのは、相手が意見しているときは耳を傾けること。相手の話の腰を折って割り込んだり、否定したりしないことです。

 しつけとは、人に従うものではなく、マナーや社会のルールを学ぶものです。私自身の体験ですが、小学校のとき、1組の先生は「こら!」と怒鳴る、やたらと厳しい先生でした。しかし、2組の先生は子どもが授業中に騒いでも注意しない先生でした。ある日、1組の先生が体調不良で欠勤した際、代理で入った2組の先生に対して、1組の児童は「この先生は優しいから大丈夫」と授業中に大騒ぎしていました。「授業中は静かに先生の話を聞く」というルールが身に付いておらず、それまでは「先生が怖いから従っていただけ」だったのです。

 人は誰しも、楽な方に流れやすい部分が少なからずあるものです。夫婦の間で子どもへの接し方や対応が異なると、子どもだって甘い人の言うことを聞くようになってしまいます。子どもの将来のために「わが家では、これだけは最低限守らせる」という基準を夫婦で話し合って、納得した上で決めることが大切だと思います。

(子育て本著者・講演家 立石美津子)

立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)。

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