頭の使い過ぎや深い思考で出る「知恵熱」、何かの病気なの?
深く物事を考えたり、頭を使い過ぎたりした後に出る熱のことを「知恵熱」と呼ぶことがありますが、これは何かの病気なのでしょうか。内科医に聞きました。
深く物事を考えたり、頭を使い過ぎたりした後に出る熱のことを「知恵熱」と呼ぶことがあります。普段はあまり勉強しない人が、熱心に勉強したために熱が出たといった話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。しかし、もし、その発熱が病気によるものであるならば、「いつもは使わない頭を使ったからだ」などとからかうのではなく、きちんと療養する必要があると思います。知恵熱とは何かの病気なのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。
「ストレス性高体温症」「心因性発熱」
Q.「知恵熱」は何かの病気なのでしょうか。もし、病気の場合、治療する必要はないのでしょうか。
市原さん「知恵熱は乳児が熱を出すことを指して、そう呼んでいたようですが、正式な医学用語ではありません。しかし、実際に乳児の発熱が続いている場合は、何らかの感染症の可能性があると考えていいでしょう。一方、大人の知恵熱は『ストレス性高体温症』、または『心因性発熱』と呼びます。ストレスがあるときや勉強などで頭を使ったときに発熱することがあります」
Q.大人の場合、なぜ、深く物事を考えたり、頭を使い過ぎたりした後に熱が出ることがあるのでしょうか。
市原さん「交感神経が活発になることで体温が上がるからです。体の機能を調整している神経のことを自律神経といいます。自律神経は交感神経と副交感神経に分けられます。交感神経は日中の活動的なときに優位になり、休憩や睡眠でリラックスしているときには副交感神経が優位になります。
交感神経が活発になると、脂肪を分解して熱を発生させる細胞である『褐色脂肪細胞』による熱産生が活発になったり、皮膚の血管が収縮することで体表面からの熱の放散を抑制したりすることによって体温が上がります」
Q.風邪の熱との違いはあるのでしょうか。
市原さん「ウイルスは高温に弱いので、風邪のときには体温を上げるために交感神経が活発になります。これが風邪の発熱です。風邪の発熱では、先述したストレス性高体温症のときのメカニズムに加えて、運動神経を介した骨格筋の収縮によって熱が作られる『ふるえ熱産生』も関与しているので、正確には違うものですが似てはいます。
ただ、大人の知恵熱は熱が出たからといって治療をする必要はありません。自然に症状は軽くなっていきます。解熱剤も効きません」
Q.知恵熱を出さないためにできることはありますか。あるとすれば、どのようなことでしょうか。
市原さん「知恵熱は心因的な面が大きいので、心身にストレスがかからないようにすることが大切です。日常生活におけるストレスの原因をできるだけ取り除き、リラックスできる時間を確保するようにしましょう。睡眠時間をしっかり確保し、規則正しい生活をすることも大切です」
(オトナンサー編集部)
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