光源氏もプレゼント! 平安の流行色「今様色」とはどのような色か
その年のファッショントレンドなどに影響を及ぼす「流行色」ですが、実は現代に始まったものではなく、日本にも遠い昔から存在していました。今回は「平安時代の流行色」について取り上げます。
毎年、ファッション業界などで注目を集める「流行色」。米パントン社や日本流行色協会(JAFCA)によってその年のトレンドを主導する色が発表され、さまざまな分野や市場に影響をもたらします。しかし、流行色は現代に始まったものではなく、日本でも遠い昔から存在していました。
今回は、平安時代の流行色についてカラー&イメージコンサルタントの花岡ふみよさんに聞きました。
「今様」は「当世風」の意味
花岡さんによると、平安時代の流行色は「今様色(いまよういろ)」と呼ばれています。今様とは「今はやりの」「当世風の」という意味。「今」は平安時代を指し、遅くとも、10世紀頃にはこの色が流行していたとみられるそうです。
「色合いについての表記は書物によってばらつきがあり、『源氏男女装束抄』には『今様色とは紅のうすき、ゆるし色』(=淡いピンク色)、『胡曹抄』には『今様色トハ紅梅ノ濃ヲ云也』(=濃い赤色)と記述されていました。現在では、紅花染めの濃い赤色を指すと考えられています」(花岡さん)
平安時代中期の「源氏物語」において、光源氏が最愛の妻「紫の上」へ贈った着物にも「今様色」との記述があるようです。
紅花の花びらは黄色ですが、水に入れて黄色の色素をもみ出すことで、赤の色素が抽出されます。平安時代、紅花を使って染める紅色は非常に高価だったため、高位の官人以外の着用を禁じる「禁色(きんじき)」とされ、今様色もこれに含まれていました。
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