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中高生も使うのに、なぜ「大学ノート」? ”グレー表紙と毛”のワケも老舗に聞いてみた

ノートといえば、「大学ノート」を使う人も多いと思われますが、中高生も使うのに、なぜ「大学ノート」なのでしょうか。老舗メーカーに聞いてみました。

ツバメノートの「大学ノート」
ツバメノートの「大学ノート」

 ペーパーレスの時代とはいえ、大学生や中高生で4月に新たなノートを購入した人も多いと思います。ノートといえば、「大学ノート」を使う人も多いと思われますが、中高生も使うのに、なぜ「大学ノート」と呼ばれるのでしょうか。また、昔ながらの大学ノートには、「毛」の入ったグレーの表紙のものがありますが、あの色と毛には、何か意味があるのでしょうか。「大学ノートの製造・販売をする文房具メーカー」とホームページに掲げ、1947年からノートを造り続ける老舗メーカー「ツバメノート」(東京都台東区)の渡辺一弘社長に聞きました。

東京「大学」前で販売の「ノート」

Q.「大学ノート」の始まりを教えてください。

渡辺さん「『大学ノート』と呼ばれるノートを最初に誕生させたのは、東京帝国大学(現在の東京大学)の赤門前に店舗を構えた、文具・洋書店の『松屋』とされています。海外から帰ってきた東京大学の教授に勧められ、1884(明治17)年にイギリスから洋紙を輸入し、手造りでとじ合わせた洋式ノートブックを作成、発売。通称『松屋ノート』と呼ばれ、大学前の松屋はノートブックの店として人気になったそうです」

Q.そもそもなぜ「大学ノート」と呼ぶのでしょうか。

渡辺さん「先ほどの話に関連しますが、大学ノートの名称の由来としては、大学(当時の東京帝国大学)の前の文具店で売られていたことから、使い勝手のいいノートブックを学生たちが『大学ノート』と呼び始めたため、との説があります」

Q.ツバメノートとして「大学ノート」を出した時期と、「大学ノート」と名付けた由来を教えてください。

渡辺さん「当社が大学ノートの製造・販売を開始したのは、1947(昭和22)年です。先ほど述べた、当時のいわゆる『大学ノート』に倣って造り始めたことから、大学ノートという製品名で発売したようです」

Q.ツバメノートの大学ノートの特徴を教えてください。

渡辺さん「丈夫で汚れが目立たない、落ち着いて高級感のある表紙デザインです。何度もめくっても、ほつれにくい糸とじ製本であり、蛍光染料を一切使わない目に優しい本文紙、水性筆記具にも適している、日本で唯一の罫引き印刷(罫の数だけ丸ペンが付いた機械で一枚一枚罫を引いていくこと)が特徴です」

Q.表紙の毛とグレーの色は、「汚れを目立たせない工夫」と聞いたことがあるのですが、なぜ汚れを目立たせないようにする工夫が必要なのでしょうか。

渡辺さん「大学ノートをはじめ、当社の商品のほとんどは、グレー色の毛入り表紙を採用しています。ノートは、何度も何度もカバンから取り出したり、めくったりするので、どうしても手あかなどがノートの表紙に付き、使っていくうちに汚れが目立ってきます。その汚れを目立たなくさせるために、グレーの色の表紙を採用したと聞いています。毛はパルプの繊維が入っているもので、ノートを丈夫にするためです。」

Q.ペーパーレスと言われる時代にも、ノートはいろいろな種類のものが発売されていますが、その中で昔ながらの大学ノートを製造・販売し続ける意味とは。

渡辺さん「やはり、多くのリピーターがいてくださるからです、確かにデジタル化は進んでいますが、アナログでないと、人間の記憶には、なかなか残りません。また、デジタルだとセキュリティー対策不足などで情報漏えいもあり得ますし、災害等で電力が使えない場合には、アナログの重要性が感じられると思います。

大学ノートをはじめとする当社の製品に使っている『フールス紙』という中性紙は、大変長持ちします。ほつれにくい糸とじ製本でもあり、永年保存してもらえるノートです」

(オトナンサー編集部)

【画像】こだわりがいっぱい! 大学ノートの「解体図」

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