ブドウで死者も…子どもが喉に食べ物を詰まらせたら、どう対処する?
子どもが食事中、食べ物を喉に詰まらせる事故が毎年発生しています。もし、食べ物を詰まらせた場合、どのように対処すればいいのでしょうか。

食事中、子どもが食べ物を喉に詰まらせそうになり、慌てた経験のある人も多いのではないでしょうか。東京消防庁によると、食べ物などの窒息や誤飲で毎年、約1000人の乳幼児が救急搬送されており、9月には都内の私立幼稚園で給食のブドウを食べていた4歳男児が亡くなっています。
大人が近くにいても事故は発生するため、常に気を付けたいところですがもし、子どもが食べ物を喉に詰まらせた場合、どのように対処すればいいのでしょうか。救命方法や事故を防ぐための対策などについて、内科医の市原由美江さんに聞きました。
「喉に詰まると危険」認識なし
Q.食べ物を喉に詰まらせてしまうケースは、何歳以下の子どもに多いのでしょうか。
市原さん「5歳までの子どもに多いです。成長途中で、食べ物をかみ砕く力や飲み込む力がまだ弱く、また、『食べ物を喉に詰まらせると危険だ』という認識がないのが要因です」
Q.もし、子どもが食べ物を喉に詰まらせた場合、どのように対処すべきなのでしょうか。
市原さん「子どもの背中をたたいたり、腹部を圧迫したりする方法があります。1歳未満の乳児であれば、うつぶせにしたり、下向きに抱えて背中をたたいたりしますが、食べ物が出ずにせきをしたり、息苦しそうだったり、ぐったりしているようであれば、すぐに救急車を呼びましょう。
1歳以上の子どもの場合、子どもの後ろに立って両脇の下から腕を回し、腹部に片方の手を当てて握りこぶしをつくります。その後、もう片方の手を重ねるようにしておなかを支え、手前の上方向に圧迫します。ただし、この方法は慣れていないと難しいため、できないようであれば、背中をたたき、改善しないようであれば、すぐに救急車を呼んでください」
Q.では、食べ物を喉に詰まらせた際にやってはいけない行為はありますか。
市原さん「大人が焦って大きな声を出したり、パニックになったりすると、子どもも驚いて、食べ物をさらに深く飲み込んでしまうことがあるので注意しましょう」
Q.詰まらせてから何分以内に、詰まった物を取り出さないといけないのでしょうか。
市原さん「何分以内に取り出さなければいけないかよりも、1分1秒でも早く取り出さなければいけません。明らかに異物を喉に詰まらせているときは声が出なかったり、息ができなかったり、せきをしたり、意識が遠のいたりといった症状が出ます。すぐに救急車を呼び、その間に前述の方法で異物の除去を試みてください」
Q.どのような食べ物が喉に詰まりやすいのでしょうか。
市原さん「ミニトマトや豆、ブドウ、あめ、こんにゃくゼリーなどです」
Q.子どもと食事をする際の注意点や事故を防ぐための対策について教えてください。
市原さん「小さな子どもの場合、かみ砕いて飲み込むという普通の行動がまだできないことがあります。誤飲しやすい食べ物は、子どもが小さいうちは与えないようにするか、与えるときは小さく切ってからにしましょう。初めて食べさせる食べ物は注意しながら与え、声掛けをしっかりしましょう。遊びながら食べないようにすることも大切です」
Q.自宅で、食べ物以外の物を子どもが飲み込んだり、喉に詰まらせたりしてしまった場合、どう対処すればいいのでしょうか。
市原さん「食べ物同様、せき込んだり、息苦しそうにしたり、意識が遠のいたりといった異変があれば、すぐに救急車を呼びましょう。特に、電池やクリップなどは飲み込んだまま放置すると危険なため、たとえ、子どもに異変が見られなくても、すぐに病院に行ってください。異物を飲み込んでからある程度時間が経過すると、胃や腸に穴が開き、腹痛などの症状が出る可能性があるためです。
そのため、できるだけ早い段階で受診し、内視鏡を使って異物を取り除く必要があります」
(オトナンサー編集部)
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