出産、がん、不慮の死…「住宅ローン」は“5つの不測”に備えた選択を!
夫が事故死、育児のために妻は退職し…
真壁純子さん(35)は第1子出産をきっかけに一戸建て住宅を購入し、夫婦の連帯債務で住宅ローンを組みました。具体的には、夫は毎月9万円、純子さんは毎月6万円でしたが、夫の手取りは毎月21万円、純子さんは18万円なのでローンを返済しても24万円残ります。毎月の生活は問題なく、子どもの進学など将来に備えて貯金できるほどの余裕がありました。
しかし昨年、夫が運転している車が事故に遭って重傷を負い、夫は帰らぬ人に。今まで、夫が稼いでいた収入が途切れてしまったのです。子どもはまだ3歳。生前は夫婦で分担していた家事や育児を純子さんが一手に引き受けなければなりません。純子さんは家事や育児に専念するため、仕事を辞めざるを得ませんでした。
もちろん、夫の住宅ローンは免責されるのですが、純子さんの分はそのまま残るので、月6万円の返済が重くのしかかります。夫の生命保険金として2000万円、事故加害者から賠償金として1000万円を受け取ったのですが、先々のことを考えるとこれらのお金を住宅ローンの返済に充てる気にならず…亡き夫との思い出が詰まった家を売却し、実家に戻ることにしたそうです。
しかし、連帯債務の場合に、どちらの住宅ローンも免責されるという新しい商品が登場しました。ただでさえ、女(男)手一つで子どもを育てるのは大変です。このような商品を選んでおけば、万が一の場合、住居費なしで持ち家に住み続けることができ、経済的な負担が軽減されるので安心です。
ここまで、マイホーム購入後に起こり得る出来事として、金利の見直し、繰り上げ返済、子どもの誕生、がんの闘病、不慮の逝去について取り上げてきました。
実際のところ、数千万円という数字を目の前にすれば、誰しも気持ちが舞い上がるのはやむを得ません。そのため、不動産業者の担当者に勧められるがまま、ほとんど確認せず、提携先の金融機関の住宅ローンを組んでしまうことも珍しくありません。
もちろん、提携ローンに、将来の事情変更に対処できる十分な補償が付与されていればよいのですが、補償が不十分だった場合は一大事です。これらの事情は「どうせ起こらないだろう」と侮らず、パンフレットや契約書、融資約款等の書類一式を十二分に読み込み、品定めすることが肝要です。
(露木行政書士事務所代表 露木幸彦)
コメント