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子どもの「偏食」は“わがまま”ではない 見た目や食感などが原因に

食べられるものから少しずつ

 先述したように、偏食は子どもの好き嫌いという感情面が原因と思われがちですが、こうしたさまざまな感覚の違いに起因することが多いのです。加えて、特定の場面や人が相手だと、緊張して食べられないなどの精神的な問題が絡むケースもあります。

 ここで挙げたような形で「子どもの苦手」を正しく理解することで、どのように対処すればよいか分かりやすくなり、支援もしやすくなります。

 一方で、これらを考慮することなく「普通はこれ食べられるよね」という形で食べることをすすめてしまうと、うまくいきません。人によって「普通」は異なると心得ることが大切です。

 そして、何よりも大切なのが周りの理解です。いまだに教育現場では「食べられないのはわがまま」という価値観のもと、食べられないことを受け入れられないケースも多くあります。しかし、食べられないものをいくら無理に食べさせたところで、そのときはたまたま口に入れたとしても、結果的にもっとその食べ物が嫌いになる可能性があります。

 また、食事時間や給食時間などを想像しただけで、「また無理やり食べさせられたらどうしよう」という予期不安が起きてしまい、食事を楽しむどころではなくなってしまうかもしれません。

「食事は楽しいもの」というベースがなければ、食が進むことはあり得ません。食べられないものがあってもよい。その上で、今食べられるものから少しずつ、食を広げていこうという姿勢がとても大切です。

(日本会食恐怖症克服支援協会 山口健太)

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山口健太(やまぐち・けんた)

月刊給食指導研修資料(きゅうけん)編集長、株式会社日本教育資料代表取締役、一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会代表理事

人前で食事ができない「会食恐怖症」の当事者経験から、食べる相手やコミュニケーションの違いによって食欲が増減することを実感。既存の「食べない子」への対処法に疑問を感じ、カウンセラーとして活動を開始。「食べない子」が変わるコミュニケーションノウハウの第一人者として、延べ3000人以上の相談を受ける。著書に海外でも翻訳出版されている「食べない子が変わる魔法の言葉」(辰巳出版)などがあり、給食指導などの研修を保育所や学校などの栄養士・教職員に向けて行っている。「目からうろこの内容」と言われるほど“とにかく分かりやすい解説”と、今日からすぐに使える実用的な内容が特徴。月刊給食指導研修資料(きゅうけん)

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