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暗い教室でビデオを見ながら…コロナ禍の「給食」の工夫で残食が増える逆効果

子どもたちはコロナ禍で、私語を慎むなど制約が多い給食時間を過ごしています。そうした環境下でも楽しい給食時間にしようとした先生の工夫が、逆効果を招くケースもあるようです。

感染拡大防止のため、体育館で給食の学校も(2020年3月、時事)
感染拡大防止のため、体育館で給食の学校も(2020年3月、時事)

 筆者は子どもの偏食や小食に悩む保護者の相談に乗ったり、園や学校向けに給食指導の研修を行ったりしています。最近は新型コロナウイルスの影響で、給食の様式も様変わりしていますが、そうした中で、ある小学校の先生から、「別のクラスの先生が給食時間中に行っている“ある指導”によって、そのクラスの残食が多くなっているのですが…」という相談が届きました。一体、どのような指導で残食が多くなっているのでしょうか。

照明を消し、カーテンを閉めた教室で…

 ある小学校の先生から、次のような相談が届きました。

「最近は新型コロナの影響で、給食時間中に私語を慎むよう、子どもたちに指導することなどが当たり前のように行われています。新型コロナの感染拡大を防ぐためには仕方ないと思いますが、そのような中、ある高学年のクラスの先生が給食時間中、NHKの教育番組や昔話のような内容のビデオを子どもたちに見せています。それも、教室の照明を消して、カーテンも閉めた暗い中でです。

そして、それが始まってから、そのクラスの残食が多くなっているのです。ビデオは制約の多い給食時間を少しでも楽しくしようとする工夫なのかもしれませんが、食に関心を向けようという意識が全く感じられません。給食時間にこのようなことをする必要があるのでしょうか? 他の先生からも『あのやり方はちょっとどうなの?』という声が上がっています」

 この記事をご覧の皆さんはこの相談を読んで、どのように感じますか?

 ちなみに、新型コロナの影響で、現在の給食形式は消毒の徹底や私語を慎む指導、席を向かい合わせにしないなどの「新しい学校給食様式」に変わっています。その先生はこの新様式に加えて、この「ビデオを見せるという指導」を導入したそうです。

 筆者の見解は「このようなことはしない方がよい」です。その理由を「学校給食とはどういうものなのか」ということと、「子どもの食べる意欲」という2つの観点から解説します。

学校給食法の指針から逸脱

「学校給食とはどういうものなのか?」を考えるとき、最初に思い当たるのが「学校給食法」です。この法律を簡単に説明すると、「学校給食はどうあるべきなのか」を定めたものであり、その中には「7つの目標」を挙げた項目があります。以下、紹介すると、

(1)適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること
(2)日常生活における食事について正しい理解を深め、健全な食生活を営むことができる判断力を培い、および望ましい食習慣を養うこと
(3)学校生活を豊かにし、明るい社交性および協同の精神を養うこと
(4)食生活が自然の恩恵の上に成り立つものであることについての理解を深め、生命および自然を尊重する精神ならびに環境の保全に寄与する態度を養うこと
(5)食生活が食に関わる人々のさまざまな活動に支えられていることについての理解を深め、勤労を重んずる態度を養うこと
(6)わが国や各地域の優れた伝統的な食文化についての理解を深めること
(7)食料の生産、流通および消費について、正しい理解に導くこと

 という項目です。これを読んでみると、給食時間に「ビデオを見せること」がこの7つの目標に沿っているとは思えないことが分かります。「食べること」がオマケのようになっているからです。照明を消して、カーテンを閉めているのはビデオを見やすくするためでしょうから、なおさらです。

 また、文部科学省が発行している「食に関する指導の手引き(第2次改訂版)」には「給食時間は、児童生徒が友達や担任などと、和やかに楽しく会食する時間です。食事にふさわしい環境を整え、ゆとりのある落ち着いた雰囲気で食事ができるよう、日頃から児童生徒が安心して食べられる環境づくりを心掛けることが大切です」という趣旨の記述があります。

 給食時間中、暗くした教室でビデオを見せることが「食事にふさわしい環境を整えること」につながるとは考えにくいです。

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山口健太(やまぐち・けんた)

一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会代表理事

人前で食事ができない「会食恐怖症」の当事者経験から、食べる相手やコミュニケーションの違いによって食欲が増減することを実感。既存の「食べない子」への対処法に疑問を感じ、カウンセラーとして活動を開始。「食べない子」が変わるコミュニケーションノウハウの第一人者として、延べ1000人以上の相談を受ける。「楽しく食べられる」ようになる道筋を理論的に分かりやすく明示することで「食べない子」の問題を解決しながら、「食べない子」の親の肩の荷がおり、心が楽になるメソッドが特徴。カウンセリングや講演活動を通して「食べない子」に悩むお母さんや学校・保育園の先生などにメッセージを伝えている。著書に「食べない子が変わる魔法の言葉」(辰巳出版)。

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