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髪を染めたら迷惑行為やナンパが減った…? 髪を染めると、相手にどんな印象?

他人の迷惑行為に悩まされていた人が髪を染めた途端、被害に遭わなくなるケースがあります。髪を染めると、相手にどのような印象を与えるのでしょうか。

髪を染めると迷惑行為が減る?
髪を染めると迷惑行為が減る?

 人は見た目で他人を判断するという話をよく聞きます。ネット上で先日、「髪を染めたら電車内での迷惑行為や悪質なナンパが少なくなった」という投稿が話題になりました。髪を染めることで、迷惑行為は本当に減るのでしょうか。また、髪を染めると他人にどのような印象を与えるのでしょうか。心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞きました。

視覚情報は印象を大きく左右する

Q.そもそも、髪を染めた人は他人に対し、心理的にどのような印象を与えるのでしょうか。例えば、威圧感を与えることはあるのでしょうか。

小日向さん「アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが発表した通称『メラビアンの法則』という論文があります。これは『ありがとう』などの好意を表す言葉や『憎い』などの反感を表す言葉のほか、好意と反感を表現した声、顔写真を準備し、これらの言葉・音声・写真をさまざまに組み合わせて被験者に提示し、どう感じたかを判断してもらうというものです。

その結果、言葉(言語情報)、音声(聴覚情報)、写真(視覚情報)の3要素に矛盾があった場合に相手が重視する割合は『視覚55%、聴覚38%、言語7%』という結果になりました。つまり、視覚からの情報は、相手への印象を大きく左右するということです。

従って、視覚情報である髪の色はその人の印象を左右する大きな要素となり得ます。髪の色を染めることは自己主張の一つで、髪の毛の色によって自己をはっきりと主張する人間であることが印象付けられますので、染める色によっては威圧感を与える可能性はあります」

Q.それでは、黒髪の場合は他人にどのような印象を与えるのでしょうか。

小日向さん「黒髪は多くの日本人にとっては地の色なので、『素直』『飾り気がない』といった印象を与えることが多いでしょう。また、髪を染めた場合に比べると、『おとなしい』という印象も他人に対して与えやすいと思います」

Q.ネット上で「髪を染めたら迷惑行為が減った」という投稿を見かけます。髪を染めたことが迷惑行為の減少に影響しているとしたら、どのような理由が考えられるでしょうか。

小日向さん「弱い人ほど、自分より非力な存在をストレスの発散対象にしたり、性的欲求のはけ口にしたりするものですが、そうした人は弱いからこそ『相手からの反撃』を最も嫌がります。髪の色を染めることは自己主張する人間だと印象付けられます。つまり、髪を染めて迷惑行為が減ったということは、反撃を恐れる人や弱い人にとって『自己主張を恐れない怖い存在』となったと考えられます」

Q.例えば、社会問題となっている「カスタマーハラスメント」でも同じようなことが考えられるでしょうか。

小日向さん「先述したメラビアンの研究からも、言語情報が少ない状態では、髪の色も含めた『見た目』が印象を大きく左右するといえます。そのため、配膳やレジ対応など言語コミュニケーションが少ない職種ほど見た目で判断されやすく、そうした意味では、黒髪のままの場合にハラスメントを受けやすく、髪を染めるとハラスメントが減るということはあり得るでしょう。

ただ、カスタマーハラスメントを防ぎたいからといって、店員が客に威圧感や恐怖を与えていいということにはなりません」

Q.職場やビジネスの場で心理的によい印象を与える髪の色は。また、髪を染めた人がそのような場にいた場合、どのような印象を与えるのでしょうか。

小日向さん「支障がないという意味では、やはり日本人の平均的な髪色である黒を基調とした色味が適しています。仕事は『成果』で評価するものなので、髪を染めるなど第一印象で好みが分かれる要素は作らない方が無難です。

ただ、先述したように髪の色は個性の主張の一つです。デザイナー、美容師、自営業者など『個』を強調したい職業の場合、自分自身を表現する手段の一つとして髪色を染めることが強みになることもあり得るでしょう」

(オトナンサー編集部)

小日向るり子(こひなた・るりこ)

心理カウンセラー

カウンセリングスペース「フィールマインド」代表。出版社で働きながらボランティアで電話相談員を始めたことが、カウンセリングの世界に入るきっかけに。資格取得後、行政機関でのセクハラ相談員を経て、2012年に独立。2019年4月現在、約3500件の相談実績を持つ。メディア、ネットなどで心理・恋愛系コラムを多数執筆。フィールマインド(http://feel-mind.net/)。

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