「ブタはオオカミに食べられ…」 昔話の読み聞かせ、残酷な物語もそのまま伝えるべきか
昔ながらのストーリーで読み聞かせを
日本人にとって、なじみの深いおとぎ話「浦島太郎」。カメを助けた浦島太郎が竜宮城に招かれ、楽しいひとときを過ごすも、手土産に渡された玉手箱を開けるとおじいさんになってしまう、というお話です。
この物語には、「『決して開けてはいけない』という約束を破ったので、罰が当たった」「約束は守らなくてはならない」という教訓が隠されているのかもしれませんが、同時に「見たいものを我慢できない人の“心の弱さ”を描いた」とも考えられます。
これを保育園で読み聞かせたとき、「酸素ボンベがないのに、なぜ浦島太郎は海に潜れるの?」「浦島太郎はカメを助けたのに、どうして乙姫様はおじいさんになってしまう玉手箱を渡したの?」「開けることができないお土産なんかつまらない」といった声が子どもたちから上がりました。
昔話が書かれたとき、当時の子どもたちに何らかの教訓を与えることを想定していたと思われますが、それが、遠い未来の子どもたちの道徳教育に役立つことまでは考えていないはずです。そのため、時代を経たことで、中には腑(ふ)に落ちないと感じる部分が出てくることもあるでしょう。
大人は読み終えた後に、「コツコツ努力することが大切なのよ」「だから約束を守らないといけないのよ」とつい一言付け加えたくなったり、子どもたちが理解できるように説明したくなったりしますが、教訓は文章だけで伝わるもの。「読んだら読みっぱなし」でよいのです。
日常では体験できないこれらの物語。子どもには、昔ながらのストーリーに近いものを読み聞かせたいものですね。
(子育て本著者・講演家 立石美津子)
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