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渡辺満里奈さんの献身話題 「うつ病」患者にとって理想的な周囲のサポートとは?

うつ病を発症した名倉潤さんに対する、妻・渡辺満里奈さんのサポートが話題に。うつ病患者への、周囲のサポートはどうあるべきなのでしょうか。

うつ病患者へのサポートはどうあるべき?
うつ病患者へのサポートはどうあるべき?

 8月、お笑いトリオ・ネプチューンの名倉潤さんがうつ病を公表し、大きな話題となりました。報道によると、名倉さんは頸椎(けいつい)椎間板ヘルニアの手術後、「侵襲」によるストレスが原因のうつ病を発症。約2カ月間の休養期間を経て、10月に仕事復帰しました。妻でタレントの渡辺満里奈さんは「(心療内科の受診時)処方された薬が合っていないと感じた」といい、別の医師にかかることを決めたり、受診に付き添ったりしたことを明かしています。

 ネット上では、「満里奈さんの気付きと行動、素晴らしいですね」「うつ病の治療中、医師との相性の悪さがストレスになっていました」「うつ病は特にセカンドオピニオンが重要だと思う」など、さまざまな意見が寄せられています。うつ病の患者にとっての理想的な主治医との関係や家族のサポートについて、精神科専門医の田中伸一郎さんに聞きました。

相性悪ければ「ノセボ効果」も

Q.まず、「うつ病」の症状について教えてください。

田中さん「うつ病を発症すると、憂鬱(ゆううつ)な気分、意欲の低下と焦燥感、『申し訳ない』という自責感、『もうだめだ』という否定的思考などの精神症状が見られます。また、『死にたい』などの気持ちを表出することがあります。身体症状としては、自律神経失調による睡眠障害、食欲減退など、さまざまな体の不調が見られます」

Q.うつ病には、どのような治療方法がありますか。

田中さん「治療方法は、うつ病の重症度によって変わります。症状が重い場合はまず休養させ、抗うつ薬による投薬治療を行います。一方、症状が軽い場合は投薬治療を行わず、睡眠時間の確保、散歩などの運動の推奨、節酒・禁酒のすすめといった生活指導や認知行動療法などを行います。

軽症うつ病に対しては、投薬治療よりも『薬に頼らない治療』を優先することが、日本うつ病学会の治療ガイドラインにも明記されています」

Q.うつ病において、患者と主治医との相性や治療方針の不一致は、病気・症状にどのように作用し得るのでしょうか。

田中さん「残念なことに、患者さんと主治医の相性が悪かったり、治療方針が合わなかったりするケースでは、薬の効果が得られないどころか、副作用ばかりが出てしまうことが知られています。これは『プラセボ効果』(偽薬による有効作用)の反対で、『ノセボ効果』(偽薬による副作用)と呼ばれるものです。もちろん、うつ病の症状自体も改善しません。

うつ病の治療では、患者さんと主治医のお互いに信頼のおける関係が重要です。そのためにも、患者さんには自分の病状について、包み隠さず話していただきたいと思います。一方、主治医もこれからの治療方針について、丁寧に説明しなければなりません。うつ病の患者さんは、症状の影響で集中力・判断力が落ちていることがあるので、何度も繰り返して治療方針を相談するようにしたいところです。

特に投薬治療の開始時は、薬の効果と起こり得る副作用について十分な説明を受けましょう」

Q.うつ病において、セカンドオピニオンが必要と思われる状況とは。

田中さん「本来、セカンドオピニオンとは、主治医は1人に固定したまま別の医師を受診し、主治医とは違う診断や治療方法などがないかを相談するものです。つまり、別の医師に相談した後は元の主治医に戻って、診断・治療方法について改めて話し合うことになります。

うつ病の患者さんが『主治医を変えてほしい』『病院を移りたい』と希望することは、セカンドオピニオン“的”ではありますが、正確にいうと『転院(または転医)』ということになります。先述のように、うつ病の患者さんは判断力・決断力が低下していますし、性格的に真面目な人が多いので、自分から目の前にいる主治医に転院(または転医)を申し出ることが難しいかもしれません。

そのため、家族側から『主治医の先生とよく相談できているの?』『今度、私(僕)も一緒についていこうか?』と持ちかけ、患者さんと主治医との相性が良いのかどうか、治療方針が合っているのかどうかを探ってみるのもよいでしょう。

初診から2~3カ月もすれば、多少なりとも治療効果が出てくるはずです。家族として悪い方向への変化しか感じられなければ、患者さんとセカンドオピニオン“的”に、病院を移ることができないかなどの相談を始めてもよいかもしれません」

Q.名倉さんの場合、満里奈さんの日常的な「観察」が早期回復の重要なポイントであるように感じます。うつ病患者の家族や周囲に求められる理想的なサポートとはどのようなものでしょうか。

田中さん「名倉さんのケースでは、満里奈さんは女優の仕事もされていますから、人間観察に非常にたけているところがあったのかなと想像しました。一般的には、そこまではいかなくとも、普段の(うつ病になる前の)患者さんと比べてどうなのかについて、まずは睡眠と食事の変化を観察することです。細かいところでいえば、会話の長さとテンポ、表情の変化、感情の表出、動作のスピードなどに注目するとさらによいです。

うつ病の患者さんに対する接し方や距離感の基本は、恥ずかしくて周囲に隠してしまいたい気持ちを乗り越えて、うつ病という病気を受け入れ、きちんと患者さんと向き合って生活を共にすることに尽きると思います」

(オトナンサー編集部)

田中伸一郎(たなか・しんいちろう)

医師(精神科専門医)・公認心理師

1974年生まれ。東京大学医学部医学科卒業。赤光会斎藤病院、東京大学医学部付属病院精神神経科、杏林大学医学部精神神経科学教室などを経て、現在は、獨協医科大学埼玉医療センターこころの診療科准教授。「誰もがこころの問題を理解し、互いに助け合うことのできる社会づくり」を目指し、精神医療の最前線で老若男女の患者を日々診療しながら、メディアを通じて正しい知識を普及すべく活動の場を広げている。

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