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胎児にも影響? はあちゅうさんも診断された「妊娠糖尿病」の症状や予防・治療法は?

糖尿病の家族歴がある人は要注意

Q.妊娠糖尿病になりやすい条件や特徴はありますか。

市原さん「糖尿病の家族歴があること(特に、父親か母親が糖尿病の場合)、肥満、35歳以上、尿糖尿性、巨大児の分娩歴、先天性奇形児の分娩歴、流産・早産・死産歴があることなどです。また前述のように、妊娠後期に血糖値が上がりやすくなります」

Q.妊娠糖尿病による出産時のリスクや、胎児への影響は。

市原さん「先述したように、妊娠糖尿病によって巨大児になる可能性があり、その場合は難産になるので帝王切開が必要になるケースがあります。また、出産時に母体の血糖値が高いと、生まれた子どもが出生後に低血糖になることがあります。さらに、妊娠糖尿病の母親から生まれた子どもは、将来的に糖尿病はもちろん、肥満やメタボリック症候群になりやすいことが分かっています」

Q.治療法と、治療に必要な期間について教えてください。

市原さん「妊娠中は血糖値を下げる薬は飲めないので、食事療法で血糖値が改善しない場合はインスリン注射による治療になります。血糖値の上がるタイミングによって、インスリン注射の回数は1日1~4回程度に分かれます。また、血糖値を自分で測ることでより、血糖値を細かく管理します。

出産すると、すぐにインスリンの必要量は低下するので、妊娠前のようにインスリン注射が必要なくなることがほとんどです。ただし、妊娠糖尿病になった人はそうでない人に比べて将来的に糖尿病になるリスクが約7倍と高いので、出産後も定期的な検査が必要です」

Q.妊娠前や妊娠中にできる予防法はあるのでしょうか。

市原さん「妊娠前に肥満傾向があれば、食事や運動を見直して減量に努めましょう。妊娠中は体重が増えすぎてもよくないので、バランスのよい食事を心掛け、間食はなるべく控えましょう」

Q.妊娠糖尿病という病気について「初めて知った」という声も少なくないようです。

市原さん「あまり聞き慣れない病気かもしれませんが、決して珍しい病気ではありません。妊娠糖尿病と診断されても、症状が特にないので自覚はあまりないかもしれませんが、赤ちゃんや母体に悪影響を及ぼす可能性が高いのできちんと通院し、血糖値の管理をしっかりと行うことがとても大切です。

また、出産後も糖尿病になるリスクは約7倍と非常に高いので、家族に糖尿病の人がいる場合は特に食事や運動などの生活習慣に留意し、体重が増えすぎないように注意します。体重が増えてきたり、逆にやせてきたり、口喝や多飲、多尿、倦怠感などの症状が出てきたりしたら糖尿病になっている可能性があります。早めに病院へ行きましょう」

(オトナンサー編集部)

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市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

eatLIFEクリニック院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。eatLIFEクリニック(https://eatlife-cl.com/)。

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