オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

母への暴力、お金の無心…ひきこもりの40代男性が進む復帰へのいばらの道

脅迫まがいの留守電やメールに母は…

 後日、母親から長男に電話をしたところ長男は激高。「何でそんな嫌がらせをしてくるんだ! こうなったのはお前のせいだ。最後までお前が何とかしろ!」。長男は電話口でそう怒鳴り、今までの恨みつらみを一方的に話すだけ。とても、母親の話を聞いてくれる状態ではありませんでした。

「少し時間を置いてみよう」

 母親は長男への連絡を控えました。その後、電話やメールが何度もありましたが、留守電やメールは脅迫まがいのものばかり。「このまま放っておくと他人に危害を加えるかも」と心配した母親は近所の心療内科、市役所、保健所、警察署など思いつく限りのところに行って長男からの留守電やメールの内容を示し、万が一のことがあった場合の相談をしました。即効性のあるアドバイスや対応はありませんでしたが、それでも「何かあった場合には対応してくれるはず、私は一人ではない」というささやかな心の支えができたそうです。

 最初の電話から2週間ほどたった頃、長男からの留守電に変化がありました。「もうどうしたらいいのか分からない。とてもつらい。助けてほしい」というメッセージが残っていました。

 母親はすぐに長男へ電話し、「まずは心療内科で医師に話を聞いてもらおう。できれば将来の話もしておきたい」と希望を伝えました。長男はおとなしく従い、母親が心療内科を予約。その後、長男は初めて診察を受けました。医師からは「1回の診察では分からないので、受診を続けてください」と言われ、長男も同意しました。

 今後は通院を続け、外部のサポートも受けながら新しい生活について準備していくことになるでしょう。途中、何度もつまずいたり、来た道を戻ったりすることもあるでしょうが、それでも母子で前に進んでいかなければなりません。母子の旅は始まったばかりです。

(社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー 浜田裕也)

1 2

浜田裕也(はまだ・ゆうや)

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー

2011年7月に発行された内閣府ひきこもり支援者読本「第5章 親が高齢化、死亡した場合のための備え」を共同執筆。親族がひきこもり経験者であったことから、社会貢献の一環としてひきこもり支援にも携わるようになる。ひきこもりの子どもを持つ家族の相談には、ファイナンシャルプランナーとして生活設計を立てるだけでなく、社会保険労務士として、利用できる社会保障制度の検討もするなど、双方の視点からのアドバイスを常に心がけている。ひきこもりの子どもに限らず、障がいのある子ども、ニートやフリーターの子どもを持つ家庭の生活設計の相談を受ける「働けない子どものお金を考える会」メンバーでもある。

コメント