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24歳ひきこもり長女が「うつ病」と診断 対策を3年以上“先延ばし”した母が直面した「まさかの現実」

障害年金の請求時は、医師の診断書が必要となります。請求時に診断書が2枚必要となってしまう事例について、社労士が紹介します。

病気などで就労が困難なひきこもりの人が、障害年金を早めに請求しなかった場合のデメリットとは?(画像はイメージ)
病気などで就労が困難なひきこもりの人が、障害年金を早めに請求しなかった場合のデメリットとは?(画像はイメージ)

 筆者のファイナンシャルプランナー・浜田裕也さんは、社会保険労務士の資格を持ち、病気などで就労が困難なひきこもりの人を対象に、障害年金の請求を支援する活動も行っています。

 浜田さんによると、障害年金を請求するには、医師が作成する診断書が必要になります。診断書は原則1枚あればよいとのことですが、障害年金を請求する方法と時期によっては診断書が2枚必要になってしまうこともあるといいます。浜田さんがある家族の事例を基に解説します。

2度の大学受験失敗がきっかけでひきこもるようになった長女

「24歳の長女にはうつ病があり、障害年金の請求を検討しています」

 そのようなことで母親が相談に訪れました。

 当事者は大西百絵さん(仮名)。百絵さんは生まれつき体が弱く、緊張やプレッシャーがかかる状況になると体調を崩すことが多かったそうです。そのためか、百絵さんは大学受験で失敗してしまいました。浪人生となった後も日々勉強に励んでいましたが、受験シーズンが近づくとやはり体調を大きく崩してしまうのでした。

 2度目の大学受験もうまくいかず、意気消沈した百絵さん。いつの間にか大学進学を諦め、自室にひきこもるようになってしまいました。

 百絵さんが20歳を過ぎてもひきこもり状態は改善せず、抑うつ状態も見られるようになったため、百絵さんは母親に連れられて心療内科を受診。そこでうつ病の診断を受けました。

 百絵さんはその後も母親に付き添ってもらいながら、月に1回程度の通院を続けてきました。24歳になった現在もうつ病が軽快することはなく就労も困難なため、母親は障害年金の請求を検討することにしたそうです。

 とはいえ、母親1人で行動を起こすのには不安があります。そこで、母親は私に相談することに決めたのだそうです。

 母親によると、百絵さんがうつ病で初めて病院を受診した日(初診日)は21歳のときで2022年3月18日。

 百絵さんは20歳から国民年金に加入しており、その際、納付猶予制度を利用。現在は父親が代わりに国民年金保険料を納めているといいます。つまり、20歳から初診日の前日まで国民年金保険料の未納期間がないので、障害年金の請求権利が発生します。百絵さんは初診日に国民年金に加入していたので、障害基礎年金を請求することになります。

 障害基礎年金は1級と2級があり、仮に2級に該当した場合、金額は次のようになります。

【障害基礎年金2級に該当する場合】
障害基礎年金 6万9308円
障害年金生活者支援給付金 5450円
合計 7万4758円
※いずれも月額で2025年度の金額

 そこまで確認した私は、障害年金の請求方法について説明することにしました。

 まずは障害認定日による請求です。障害認定日とは、初診日から1年6カ月が経過した日のことをいい、基本的に障害年金はこの日以降に請求することが可能です。これを百絵さんに当てはめると次のようになります。

 初診日は2022年3月18日なので、障害認定日は2023年9月18日。障害年金を請求できるのは2023年9月18日以降であり、もし障害認定日に法令に定める障害の状態にあると認められた場合、障害基礎年金は障害認定日の翌月分から発生します。

 つまり、2023年9月に障害年金の請求が認められた場合、同年10月分から支給されます。現在は2025年11月なので、過去2年分の約160万円が初回の振込時に一括支給されます。その後は偶数月の15日に2カ月分ずつが支給されます。

 もう1つの請求方法は事後重症による請求です。障害認定日に法令に定める障害の状態に該当しなかった場合でも、その後病状が悪化し、法令に定める障害の状態になったときに請求できます。事後重症による請求が認められた場合、請求した翌月分から障害基礎年金が発生します。

 仮に事後重症による請求を2025年11月にしたのであれば、2025年12月分から支給されます。こちらも偶数月の15日に2カ月分ずつ支給されます。

 なお、障害年金生活者支援給付金は、障害年金を請求した翌月分から支給されることになっています。仮に障害認定日による請求が認められても、障害年金生活者支援給付金の方は障害認定日当時までさかのぼって支給されることはありません。

 ここまで説明した私は、母親に確認をしてみました。

「初診日から3年以上たってご相談に来られているので、障害認定日当時は症状が軽かったということでしょうか。つまり、今回は事後重症請求をご検討されているということでよろしいでしょうか」

「いいえ、そんなことはありません。障害認定日による請求ができるのであれば、そちらにしたいです」

「そうなのですね。今まで請求をしなかった理由は何かありますか」

「特にこれといった理由はありませんが…。あえて言えば、請求は大変そうなので、つい先延ばしにしてしまったからでしょうか。それが何か問題でもあるのですか」

「大きな問題というわけではないのですが、今回のケースで障害認定日による請求をするのであれば、診断書が2枚必要になってしまうからです」

「え、それはなぜですか。障害認定日当時の診断書1枚だけでは駄目なのでしょうか」

 母親は困惑の表情を浮かべました。

【画像】要注意! これが、ひきこもりの人にやってはいけない“NG行為”です

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浜田裕也(はまだ・ゆうや)

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー

2011年7月に発行された内閣府ひきこもり支援者読本「第5章 親が高齢化、死亡した場合のための備え」を共同執筆。親族がひきこもり経験者であったことから、社会貢献の一環としてひきこもり支援にも携わるようになる。ひきこもりの子どもを持つ家族の相談には、ファイナンシャルプランナーとして生活設計を立てるだけでなく、社会保険労務士として、利用できる社会保障制度の検討もするなど、双方の視点からのアドバイスを常に心がけている。ひきこもりの子どもに限らず、障がいのある子ども、ニートやフリーターの子どもを持つ家庭の生活設計の相談を受ける「働けない子どものお金を考える会」メンバーでもある。

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