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メールアドレスに「love」を使っている女性は離婚しやすい(下)

寛容な心で人間を許す「angel」

【4位】「angel」

「baby-angel.4581@****.ne.jp」「white-ange22@****.co.jp」「chibi-angels@****.or.jp」など99件

<家族構成と登場人物、属性(すべて仮名。年齢は現在)>
夫:宮本俊介(36歳)→会社員(年収380万円)
妻:宮本神楽(29歳)→専業主婦
長女:宮本優奈(0歳)
妻のメールアドレス:angelheart0809@****.co.jp

「今までずっと我慢してきましたが、もう限界です! あいつに振り回される人生はもう終わりにしたいんです!」

 涙ながらに訴えかける宮本神楽さん。神楽さんが夫の存在に苦しめられたのは妊娠中まで遡ります。妊娠中で心身共に不自由な神楽さんに向かって、夫は「何だ! その態度は!!」と怒り出したそうです。

 例えば「ふざけるな!」とテレビのリモコンを投げつけてきたり、「俺は(子どもを)欲しくなかったんだ。お前らなんか死んでしまえ!」と逆上したり、「つべこべ言わずにヤラせろ!」と妊婦の神楽さんに性交渉を強要したり……そんな地獄絵図のような生活が続いたので、ついに妊婦の神楽さんは過呼吸で倒れ、救急車で運ばれる事態に。

「あいつには父親の自覚がないんです!」

 神楽さんは語気を強めますが、無事、女の子を出産したものの夫の傍若無人ぶりは拍車がかかるばかり。出産前は言葉の暴力だけでしたが出産後は身体の暴力にエスカレート。気に入らないことがあるとスイッチが入るようで、1カ月に1度は神楽さんに手を上げるのです。

 例えば「夜に寝られないのはお前のせいだ!」と罵声や暴言とともに平手打ちを食らわせたり、背後から殴ったり蹴ったり、揚げ句の果てには、神楽さんを階段から突き落としたりして、首の椎間板が腫れたり、あばら骨が折れたり、視野の障害という後遺症が残ったりしたのですが、神楽さんが許せなかったのは怒りの矛先を娘さんに向けたこと。

 娘さんはまだ0歳児なのに、両親のけんかをやめさせようと泣きわめいたのですが、夫は娘さんに対して思いっきりビンタを見舞ったのです。夫婦のもとに産まれてきた赤子は「angel」そのもの。自分のメールアドレスに「angel」を入れるほど天使好きの神楽さんは子どもが欲しくて欲しくて仕方がなかったようです。

 揚げ句の果てには「お前の顔を見ると殴りたくなる!」と言い放ったので、神楽さんは娘さんを連れ、実家へ帰らざるを得なかったのです。

「とても自己中心的で、お金にも卑しい人間でした。私たちがいなければ『(金銭的に)楽だったのに』と平気で言うくらいなので!」

 神楽さんは、遅ればせながら夫を捨てる決意を固めたのですが、夫の異常な性格は今に始まったことではありません。結婚当初から気付いていたはずなので、時には夫をしつけるために「devil」を演じる必要もあったはず。

 例えば、神楽さんは妊娠中、ホルモンバランスが崩れて情緒が安定せず、いら立ちを隠せない様子でした。そのため、夫が話しかけても「自分でやれば!」「何なのよ!」「少しは私のことも気使ってよ!」などと声を荒げたり、雑に扱ったり、無視をしたりすることも可能だったでしょう。「言いなりにならない」姿勢を示したら夫がどのような反応をするのか試すのです。しかし、自分は「angel」だと思い込んでいる神楽さんが「devil」に転じるのは、難易度が高すぎるので到底無理でした。

 なぜ、妊娠や出産のタイミングで夫を見切ることができなかったのでしょうか。

「旦那は私立高校で講師をしていて、生徒に教えているので、子どものことが好きなんだと思っていました。だから、私との関係も、子どもが産まれれば変わると信じていたからです」

 神楽さんはそんなふうに後悔の念を口にしますが、夫を更生させることができるのは、自分だけ。神楽さんは自分の存在が夫にとって「angel」であるべき、そして「angel」は愚かで罪深く、哀れな人間を寛容な心で許さないといけない。そんな思い込みのせいで、神楽さんはいつの間にか夫の言いなりになっていたのです。結局、神楽さんが期待した反省や改心、贖罪(しょくざい)は一切現れずに裏切られた格好ですが、今後は天使のような広い心で、夫ではなく娘さんを包んでいってほしいです。

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露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)

行政書士(露木行政書士事務所代表)

1980年12月24日生まれ。いわゆる松坂世代。国学院大学法学部卒。行政書士・ファイナンシャルプランナー(FP)。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化し行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界最大規模に成長させる。他で断られた「相談難民」を積極的に引き受けている。自己破産した相手から慰謝料を回収する、行方不明になった相手に手切れ金を支払わせるなど、数々の難題に取り組み、「不可能を可能」にしてきた。朝日新聞、日本経済新聞、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインで連載を担当。星海社の新人賞(特別賞)を受賞するなど執筆力も高く評価されている。また「情報格差の解消」に熱心で、積極的にメディアに登場。心理学、交渉術、法律に関する著書を数多く出版し「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷、いずれもメタモル出版)「婚活貧乏」(中央公論新社、1万2000部)「みんなの不倫」(宝島社、1万部)など根強い人気がある。仕事では全国を飛び回るなど多忙を極めるが、私生活では30年以上にわたり「田舎暮らし」(神奈川県大磯町)を自ら実践し「ロハス」「地産地消」「食育」の普及に努めている。公式ブログ(https://ameblo.jp/yukihiko55/)。

注)離婚手続きに関して、個別事情を踏まえた離婚手続きや離婚条件に関する法的観点からの助言が必要な場合は弁護士に依頼してください。

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