「乳がん」発見の体験描いた漫画が話題に 検診内容や早期発見の方法は? 医師に聞く
乳管にがんが見つかった体験を描いた漫画が話題です。乳がんの症状や検診方法について、医師に聞きました。
乳管にがんが見つかった体験を描いた漫画が先日、SNS上で話題になりました。作者は、体にしこりのようなものがあると気付き、病院で2度の検査・手術を経て、乳管の中にがんが見つかったといいます。
漫画家のさくらももこさんが、8月に乳がんのため死去したことを受け、乳がんに対する社会的関心が高まっており、SNS上では「若いからって油断できない」「検査行かなきゃ」「20代だけど、怖いからマンモグラフィー受けたい」など、さまざまな声が上がっています。
オトナンサー編集部では、乳がんの検診や早期発見の方法について、医師の尾西芳子さんに聞きました。
女性の11人に1人がかかる
Q.まず、乳がんとはどのような病気でしょうか。
尾西さん「乳がんとは、乳房にある乳腺にできる悪性の腫瘍のことです。乳腺は、母乳を作る『小葉(しょうよう)』と呼ばれる部分と、そこでできた母乳を乳頭まで運ぶ『乳管』と呼ばれる管でできていますが、乳がんは乳管に多く発生します。
初期には症状がないことが多いのですが、進行してくると、乳房にしこりができたり、乳頭や乳輪に湿疹ができたり、乳頭から血の混じった乳汁が出たりすることもあります。また、脇の下のリンパ節が腫れることもあります。
国立がん研究センターがん対策情報センターのデータ(2013年)によると、生涯に乳がんになる女性の割合は、50年前は50人に1人程度でしたが、現在は11人に1人で年々増加傾向にあります。増加の原因としては、食生活の欧米化や、妊娠・出産・授乳回数が減ったことなどが考えられています」
Q.乳がんの検診の種類とそれぞれの特徴とは。
尾西さん「乳がんの検診には大きく2つの方法があります。一つはマンモグラフィーといって、乳房のレントゲンを撮る方法で、区の検診や集団検診でよく行われるものです。全体を一度に見ることができ、最も精度が高い検診と言われています。
『挟まれるので痛い』という方も多い検査ですが、これは両側から板で乳房を挟み、乳房をなるべく薄くして撮影することで病気を見つけやすくしているためです。マンモグラフィーが痛くて苦手という方は、乳腺が張って痛みが出やすい月経の1~2週間前を避け、月経後1週間の乳房が柔らかい時期に検査を行うとよいでしょう。
もう一つは、エコー(超音波)で乳腺の中を見ていく検査です。乳房にジェルを付けてエコープローブ(探触子)でなでることで、乳腺の状態を見ることができます。5分程度かけて両側の乳房を見ていきます。
2つの検査はそれぞれ得意不得意があり、マンモグラフィーは石灰化(がんの時に見られるカルシウムの沈着。良性の際も見られる)を見つけやすいのですが、乳腺の発達した若い人では病変を見つけにくいという特徴があります。
エコー検査(超音波)は、乳腺が発達している若い人でもしこりを見つけやすいのですが、石灰化を見つけにくいので、初期のがんを見逃してしまうことがあります」
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