「婚活サイト」を悪用した男性を信じ、だまされた3人の女性(下)
「タダ飯を食わせてもらっている」劣等感
「これから何を信じていったらいいのでしょうか? 今は生きる気力を失っています」
突然の同棲解消に加え、一度約束した責任の放棄。摩耶さんにとって1度ならず2度も彼に裏切られたショックはあまりにも大きく、相手の逃げ得を許したくないのは山々ですが、これ以上、彼を追いかけるのは精神的に無理な状況でした。
「彼のことを早く忘れた方がいいのでしょうか? 彼も最初は真剣な気持ちだったと思います。彼にも彼の事情があるので、彼だけを一方的に責める気はありません。でも、約束を反故(ほご)にするのは別です。人間性に問題があるんじゃないかって!」
摩耶さんは、最後の最後でようやく彼の正体に気付いたのですが、結婚前提とはいえ、同棲の状態はあまりにも不安定です。籍を入れた夫婦と比べれば一目瞭然です。
夫婦が別れる場合、無断で出て行っても仕方なく、離婚届を提出しなければなりません。もちろん、離婚届には片方ではなく両方の署名が必要なので、勝手に決めることはできません。そのため、お金の条件(財産、慰謝料、生活費など)は籍を抜くまでの間に決めればよいのです。
一方、同棲の場合、家から出て行った時点で終了。お金の条件が決まっていなくても、「逃げた者勝ち」という感じで、家を飛び出すことも可能といえば、可能です。しかも、知らない間に出て行こうとする相手を確実に引き留める方法がないのだから、同棲を解消するかどうかは相手に委ねらており、戸籍上の妻と比べて、同棲中の彼女の立場はとても弱いのです。
摩耶さんの失敗例で学ぶべきは「赤の他人にお金を貸す」ことの危険性です。彼が同棲相手(彼氏)だとしても、まだ籍を入れていないのだから赤の他人です。同棲を始めるにあたり、摩耶さんは彼から、「何のお金なのか」の答えを得たり、「返す」という約束を取り付けたり、借用書を書かせたりしていません。
「結婚」の二文字に目がくらんで、あいまいにしておいたのですが、これでは「貸したお金」なのか「あげたお金」なのか不明です。彼が「もらったお金」、摩耶さんが「貸したお金」と言い争った場合、彼を言いくるめることは難しく、結局、彼は「タダでもらったお金だから返さなくてもいい」と。
もしかすると、摩耶さんは甲斐性のない男の尻ぬぐいをして自己満足していたのではないでしょうか。「誰のおかげで生活できていると思っているの?」と上から目線で見たり、「私が彼を食わしてやっているの!」と押し付けがましい態度を取ったり、「彼は私がいないと何もできない」と上下関係を敷いたりしたら、彼はどう思うでしょうか。
例えば、おかしな疑いをかけられないようにスマートフォンの指紋認証を常に解除しておかなければならず、勉強の時間を削ってデートに出かけたり、摩耶さんの機嫌をうかがって優しくしたりせざるを得ないのです。そんなふうに「タダ飯を食わせてもらっている」という劣等感や罪悪感が2人の関係に影響を及ぼすのです。
致命的だったのは、ささいなことで口げんかになった時。摩耶さんいわく、彼が少しでも言い返そうものなら「何様のつもりなの!」と一喝してしまったとのこと。そう言われてしまうと、彼はただただ平謝りするしかないのですが、結局のところ、彼が休職中だということを、事あるごとに蒸し返すのは摩耶さんの方だったので、今回のてん末は、摩耶さんが彼を尻に敷きすぎた結果とも言えるでしょう。
(露木行政書士事務所代表 露木幸彦)


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