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「婚活サイト」を悪用した男性を信じ、だまされた3人の女性(下)

婚活サイトを悪用した事件が話題となりましたが、筆者のもとには、「体目的のヤリ男」「不倫目的のサギ男」「金目的のヒモ男」という3つのタイプの男性にだまされた女性が相談に来るようです。

女性たちをだます男性の手口とは?
女性たちをだます男性の手口とは?

「体」「不倫」「金」という、それぞれの目的のために、婚活サイトやアプリを悪用する男性にだまされた女性たちのストーリー。前編では、「体目的」「不倫目的」のケースを紹介しましたが、後編の今回は、「金目的」の男性と同棲し、失敗した29歳女性の体験談です。

生活費や学費など150万円を支払った

 3つ目のケースは金目的のヒモ男ですが、大林摩耶さん(29歳)は、こんなふうに声を荒らげます。

「結婚する約束で6カ月も同棲したのに突然、相手が出て行きました。『愛情がなくなり、結婚は無理』と。私にも至らないところはあったと思いますが、今までのことを考えると納得いきません」

 摩耶さんと彼は婚活サイトで知り合ったのですが、当時の彼は前の会社を退職し、「自分探し」の真っ最中。一応はリワークプログラムの中で理学療法士の資格を目指すことに決め、専門学校を受験しようと勉強していたのですが、既に失業手当の受給期間は終了しており完全に無職の状態。それでも目標に向かって頑張る彼のことを応援したいと思い、摩耶さんは2人分の生活費、同棲先の家賃、そして、受験用のテキストや交通費、携帯代などを負担し、彼のことを金銭的に支えてきたのです。

 それなのに、彼は摩耶さんの好意を踏みにじったのだから、摩耶さんが激しく憤るのも無理はありません。6カ月間で摩耶さんが支払った金額は150万円に達していました。

 さらに、彼は摩耶さんと同棲を始めるにあたり、摩耶さんの実家を訪ね、両親へあいさつをしたのですが、彼は「専門学校を卒業し、就職したら結婚したいと考えています」と頭を下げたので、両親も同棲の許しを与えたという経緯があり、彼は摩耶さんだけでなく、両親のこともだましたことになります。

 実際のところ、同棲先の敷金礼金、家財購入費、引っ越し代など(計50万円)は両親に援助してもらったので、「こんなことになって、両親に会わせる顔がないですよ」と頭を抱えます。

 摩耶さんは、彼が部屋から荷物を引き上げるタイミングを見計らい、彼を捕まえると、怒り心頭という感じで彼を問い詰めたそうです。彼は自分の責任を認めて謝罪し、「バイトを始めるまで待ってくれ。150万円を分割で返すから。毎月3万円でどう? 必ず払うから」と言い出したそうです。彼には貯金はなく、返済方法が一括ではなく分割になるのは仕方がないので、摩耶さんはその場では渋々承諾したのです。

「彼の立場を考えれば少し酷かもしれませんが、私が前を向いて生きていくには、うやむやにするわけにはいかないんです! 彼のためじゃなく私のために!!」

 摩耶さんは苦しい胸の内を回顧してくれましたが、摩耶さんが彼にかけた情けは早々に覆されます。直談判から3日後、彼から信じられないLINEが届いたのです。「法的機関に相談したら、払う必要がないと言われた。払う義務はない。法的根拠を示してください」と。

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露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)

行政書士(露木行政書士事務所代表)

1980年12月24日生まれ。いわゆる松坂世代。国学院大学法学部卒。行政書士・ファイナンシャルプランナー(FP)。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化し行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界最大規模に成長させる。他で断られた「相談難民」を積極的に引き受けている。自己破産した相手から慰謝料を回収する、行方不明になった相手に手切れ金を支払わせるなど、数々の難題に取り組み、「不可能を可能」にしてきた。朝日新聞、日本経済新聞、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインで連載を担当。星海社の新人賞(特別賞)を受賞するなど執筆力も高く評価されている。また「情報格差の解消」に熱心で、積極的にメディアに登場。心理学、交渉術、法律に関する著書を数多く出版し「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷、いずれもメタモル出版)「婚活貧乏」(中央公論新社、1万2000部)「みんなの不倫」(宝島社、1万部)など根強い人気がある。仕事では全国を飛び回るなど多忙を極めるが、私生活では30年以上にわたり「田舎暮らし」(神奈川県大磯町)を自ら実践し「ロハス」「地産地消」「食育」の普及に努めている。公式ブログ(https://ameblo.jp/yukihiko55/)。

注)離婚手続きに関して、個別事情を踏まえた離婚手続きや離婚条件に関する法的観点からの助言が必要な場合は弁護士に依頼してください。

各都道府県の弁護士会
https://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/bar_association/whole_country.html

法テラス
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