糖尿病は「痩せたら治る」?→専門医「治りません」 誤解だらけの“体重と糖尿病”の関係
「痩せたら治る」と思われがちな糖尿病ですが、専門医は「治りません」と断言します。その理由について、詳しく教えていただきました。
糖尿病に対して「太っている人がなりやすい」「痩せたら治る」というイメージを持っている人は多いのではないでしょうか。実際、糖尿病は体重や体形、肥満の有無との関係が取り沙汰されることの多い病気の一つではありますが、自身も1型糖尿病歴30年で、eatLIFEクリニック(横浜市旭区)院長で内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんは「まだまだ誤解されている部分も多い」と指摘します。
糖尿病は「痩せる」ことで治る病気といえるのか、実際のところについて詳しく教えていただきました。
痩せていても発症する
「太っていると糖尿病になりやすい」というイメージを持っている人は少なくないと思いますが、実際、糖尿病は肥満があると発症する可能性が高くなります。
肥満により内臓脂肪が増加し、脂肪肝によりインスリンの効き目が悪くなる「インスリン抵抗性」が起こるので、血糖値を下げるために過剰なインスリンが分泌されます。過剰なインスリンで血糖値が調整できるうちはいいのですが、次第に血糖値が制御できなくなり、糖尿病へと進展するのです。
肥満と糖尿病の関わりによるイメージから、「痩せたら治る」と考えている人もいるかもしれません。その答えは「NO」で、痩せても糖尿病が治ることはありません。
一方で、痩せると血糖値は改善します。そもそも、糖尿病に至るまでの期間、過剰なインスリン分泌を強いられることで膵臓(すいぞう)は酷使され、疲弊しています。しかし、体重を減らしてインスリン抵抗性を改善することで、血糖値は改善する可能性が大いにあるのです。
食事の内容や量に注意したり、運動を積極的にしたりすることで減量することが多いですが、これは“血糖値を下げる行動”でもあります。体重と血糖値は比例することがほとんどなので、過体重であれば減量をおすすめします。
このように、糖尿病と体重・体形の関わりについては、まだまだ誤解されている部分も多いと思われますが、先述した通り、肥満だと糖尿病の発症リスクが高くなるのは確かです。
ただし逆に、痩せていても糖尿病を発症する人は少なくありません。これは、糖尿病の家族歴がある人は遺伝的に痩せていても発症するためです。近年、注目されているのは、筋肉量の少ない痩せた女性の糖尿病発症リスクが高いという事実です。
糖尿病の家族歴がある人は、「痩せているから」といって油断は禁物です。筋肉は血糖値を下げるために欠かせないものなので、積極的に運動を心がけましょう。
(オトナンサー編集部)
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