内科医に聞いて分かった「平熱」と「微熱」の基準! 正確な体温が測れない「NG行為」4つも解説
体温計を使うときに気になる「平熱」と「微熱」。その基準や正しく体温を測るためのポイントを、内科医が解説します。
徐々に暖かい気候の日が増えてきているものの、朝晩の寒暖差などもあり、依然として新型コロナウイルスやインフルエンザ、風邪などにかかる人が多い状況が続いています。体調の変化を感じて「少し熱っぽいかも…」と思ったとき、体温計を使う人は多いと思いますが、「平熱」と「微熱」について「基準は何度?」「体温を測るたびに数値が違うんだけど…」といった疑問を持っている人もいるのではないでしょうか。
「平熱」と「微熱」、そして体温を正しく測るためのポイントについて、内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんが解説します。
日本人の平均体温は36.89度
一般的に、「平熱」は36.0度以上37.0度未満、「微熱」は37.0度以上38.0度未満のことをいいます。感染症法に基づく届け出基準では、37.5度以上を「発熱」、38.0度以上を「高熱」と定義しています。
「平熱が低い/高い」という表現は日常的によく耳にしますが、平熱の高さに違いがあることは事実です。日本人の平均体温は36.89度とされていますが、平熱は個人差が大きく、35度台の人もいれば37度台前半の人もいます。
近年では、がんにかかっている人や肥満の人は体温が高い傾向にあること、また人種では黒人女性の体温が高いことが研究結果で明らかになっています。
体温は、年齢を重ねるにつれて下がってきます。そのため、子どもは平熱が高く、逆に高齢者は平熱が低くなります。1日の中でも変化しており、朝に低く、夕方に高くなるのも特徴です。さらに、暑い季節は高く、寒い季節は低くなるなど、気温にも影響されます。
「体温を測るたびに違う数値が出る」と感じた経験がある人は少なくないと思いますが、このように、1日の中でも時間帯によって体温が変化すること、室温・洋服が異なることが要因でしょう。また、測り方が安定していないことなども考えられます。
体温を正確に測るには?
ところで、あなたは普段、体のどの部位で体温を測っていますか。
実は、体温は測る部位によって異なります。温度が比較的安定しているのは口の中や直腸ですが、いずれも特殊な体温計を用いる必要があり、あまり現実的ではありません。そのため、一般的な体温計を使う際は「脇の下」で測るのがよいです。
脇の下で測るとき、正確な体温が測れない可能性が高まる“NG行為”は次の4つです。
【(1)体温計をしっかり固定していない】
体温計を脇の奥まで当てたら、脇をしっかり締め、動かないように固定しましょう。動いてしまうと摩擦熱の影響を受けたり、体温計がずれることで測定部位が変わり、温度変化が起きたりして正しく測れない可能性があるからです。また、検温中に動いてしまうと正確に測れないことがあるため、安静にした状態を保ってください。
【(2)脇に汗をかいている】
脇の下に汗をかいていると、正確に測ることができません。きれいにしてから体温計を当てましょう。
【(3)定められた時間を守っていない】
家庭用の体温計は、数秒で測れるもの、数分程度で測るものなど、製品によってさまざまです。体温計を当てたら、それぞれに定められた時間まで待つことが基本です。
【(4)測るタイミングと環境が適していない】
食後は体温が上がるため、正確な体温を測れない可能性が高いです。そのため、食後2時間くらいまでの検温は避けましょう。また、極端に寒い/暑いような環境で測るのも避けてください。なお、検温する時間帯は基本的にいつでも構いませんが、先述の通り、体温は1日の中でも変化するため、日中と夜間の自分の平熱を事前に把握しておくことをお勧めします。
自分の平熱を知っておくことはとても大切です。平熱は個人差が大きいため、37.5度を超えていなくても、体内で発熱の原因となる炎症が起こっている可能性があります。目安として、平熱よりも体温が1度以上高いときは、喉の痛みや倦怠(けんたい)感などの症状がないかどうかなど、体調の変化に注意してみてください。
(オトナンサー編集部)
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