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消費増税延期は暮らしにプラス? 「安倍首相が意向」報道、専門家はこう見る

「株価上昇→円安」もしくは「国債下落→円高」

 マネースクウェア・ジャパンの西田明弘チーフエコノミストはこの点に関して、「延期の景気に対するプラス面が好感され、株価が上昇すれば、投資家のリスクを取る姿勢が強まり、円安につながるかもしれません」と話します。

 為替が円安に振れれば、自動車などの輸出関連企業を中心に景気にとってプラスとなり、同時に、輸入価格の上昇によって物価を押し上げる効果も予想されます。

 一方で、西田さんは延期のマイナス面について、「財政再建の遅れが嫌気され、国債価格が下落(金利は上昇)すれば、投資家のリスク回避姿勢(=円買い)が強まって円高になる可能性があります」と指摘。とりわけ、「大手格付け会社の増税延期に対する評価が注目される」といいます。

 日銀の3月の「企業短期経済観測調査」(短観)における「大企業製造業」の想定レートは、1ドル=117円程度。足元のレートである1ドル=109~110円とは7円ほども開きがあり、さらなる円高で企業業績が悪化すれば、株安や景気下押しにつながりかねない、という理屈です。

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西田明弘(にしだ・あきひろ)

株式会社マネースクウェア・ジャパン(M2J)市場調査部チーフエコノミスト

1984年日興リサーチセンター入社。米ブルッキングス研究所客員研究員などを経て、三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社。チーフエコノミスト、シニア債券ストラテジストとして高い評価を得る。2012年9月マネースクウェア・ジャパン(M2J)入社。現在、M2Jのウェブサイトで「市場調査部レポート」「市場調査部エクスプレス」「今月の特集」など多数のレポートを配信するほか、テレビ・雑誌などさまざまなメディアに出演し活躍中。株式会社マネースクウェア・ジャパン(M2J)(http://www.m2j.co.jp)。

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