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頭痛、目まい、吐き気…「水分不足」が原因? “冬場”は特に要注意? 内科医に聞いた

頭痛や目まい、立ちくらみ、吐き気といった体の不調。実は「水分不足」が原因のケースがあるといいます。なぜ、水分不足がこうした不調を招くのか、内科医に聞きました。

「水分不足」で体調不良に?
「水分不足」で体調不良に?

 頭痛や目まい、立ちくらみ、吐き気、腹痛、精神状態の悪化……。こうした不調が続いた場合、あなたならどんな原因をイメージしますか。実は、これらの不調の原因が「水分不足」だと診断されるケースがあるそうです。水分不足というと「夏」をイメージする人も多いと思いますが、汗をあまりかかず、夏と比べて水分を摂取する量・頻度が減少しがちな冬も、こうした不調を感じる人は少なくないようです。

 「水分不足が原因だったとは…」「寒い冬場はつい、水分を取り忘れるから気を付けないと」「どのくらいの頻度で飲めばいい?」といった疑問や、水分不足によって体調不良が引き起こされる原因について、内科医の市原由美江さんに聞きました。

水分不足で血液が濃くなり…

Q.水分不足によって体の不調が現れるのはなぜですか。

市原さん「私たちの体の約60%は水分(体液)です。体液は『細胞内液』『細胞外液』に大別されます。

水分の摂取不足により細胞外液が減少し、血液が濃くなる状態を『高張性脱水』といいます。脱水で血液の量が減ると血圧が下がるため、立ちくらみや目まい、吐き気などの症状が出ることがあります。この低血圧を補おうとして脈拍数が増えるため、動悸(どうき)を自覚するケースがある他、脱水の程度がひどい場合は意識障害を起こすこともあります。

また、他の症状として『口渇(こうかつ)』があり、体が自然と水分摂取を促しますが、高齢者はこの口渇の症状が出ないことがあるため、普段から小まめに水分摂取することが大切です」

Q.「水分不足による不調である」と見極めるためのポイントはありますか。

市原さん「水分不足以外にも、脱水は発熱や発汗過多、下痢などによって体の水分が失われたときにも起こります。まずは、これらの症状があるかどうかを確認しましょう。発熱や発汗過多、下痢などが見られるときは尿量が減り、いつもよりもトイレの回数が少なくなるため、水分不足による脱水かどうかを見極めるポイントになります。水分不足の場合は、口渇を自覚することが多いので、口渇を感じたら早めに水分摂取しましょう」

Q.不調を予防するための水分補給について教えてください。

市原さん「健康な人は、1日の水分摂取の目安を1500ミリリットル程度にするとよいでしょう。一気に摂取するのではなく、1回につきコップ1杯程度で、2〜3時間おきに飲むのが理想的です。また運動をして汗をかいた後、お風呂上がりなどは意識して水分を摂取しましょう」

Q.水以外の飲み物でも同様の効果が得られますか。

市原さん「清涼飲料水はカロリーが高いものが多いため、これを中心に飲むことは控えましょう。お茶やコーヒーにはカフェインが含まれています。カフェインには弱い利尿作用があり、水と比べると水分補給の効果は弱いでしょう。麦茶などカフェインフリーのお茶や、カフェインレスコーヒーなどを利用してください」

Q.水分不足といえば夏のイメージですが、冬場も注意が必要なのでしょうか。

市原さん「はい。冬場は汗をかかないので、意識して水分摂取することを忘れがちです。寒いので、冷たい水分を取ることに抵抗もあると思います。しかし、実際は暖房などで乾燥し、気付きにくいですが汗もかいています。寒さが厳しい冬場こそ特に意識して、水分摂取を心掛けるようにしてください」

(オトナンサー編集部)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

eatLIFEクリニック院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。eatLIFEクリニック(https://eatlife-cl.com/)。

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