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騒音、臭いがトラブルの原因に…住宅地での「バーベキュー」に賛否両論の声、法的問題は?

河川敷のバーベキューに法的問題は?

Q.河川敷でバーベキューをすることに法的問題はありますか。

牧野さん「公園や河川敷、海浜など公有地でのたき火(バーベキュー)は、自治体などの管理者が禁止していることがあり、この場合、勝手にバーベキューを行うと管理者に注意されます。場所の管理者がバーベキューを認めている場合も、バーベキューは一種のたき火と解釈されるので、以下の法規制があります」

(1)軽犯罪法第1条9号は「相当の注意をしないで、建物、森林その他燃えるような物の附近で火をたき、又はガソリンその他引火し易い物の附近で火気を用いた者を拘留又は科料に処す」と定めているので、バーベキューが認められている場所でも、相当の注意を怠れば軽犯罪法違反となる可能性がある
(2)自然環境保全法は、指定地域におけるたき火行為は原則禁止しており、都市公園法11条4号は「公衆の都市公園の利用に著しい支障を及ぼす怖れのある行為」を禁じています。公園管理者が指定した場所以外でたき火をすると、10万円以下の科料が科されるので要注意
(3)消防法3条は、消火のための準備をしていないたき火を禁止している
(4)その他、地方自治体の条例による規制や、集合住宅地などの管理組合による自主規制がある

Q.バーベキューが認められている区域や施設でも、周辺住民が騒音やゴミの散乱などの迷惑をこうむった場合、何らかの法的手段に訴えることはできますか。

牧野さん「これも受忍限度を超えているかどうかで判断することになりますが、バーベキューは頻度が低く、継続性もない場合が多いので、一般的に損害賠償請求は難しいでしょう。騒音が非常に大きく健康被害があった場合に限られるでしょう」

Q.過去にバーベキューが違法だと認められたケースや、損害賠償が認められたケースはありますか。

牧野さん「バーベキューにより発生する騒音や煙、臭いについて、損害賠償や差し止めが認められた裁判例は公表されていませんが、上階の子どもの騒音や、エアコン室外機からの騒音、カラオケからの騒音、店舗テナント内のライブハウスから発生した騒音、集合住宅内の騒音によるノイローゼ発症については、10万~数十万円の損害賠償が認められています。一方で、上階のミシンによる騒音、子ども文化センターやスポーツセンターの騒音などは、受忍限度を超えていない(子ども文化センターやスポーツセンターは公共性も考慮された)として請求が棄却されています」

(ライフスタイルチーム)

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牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。

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