20代では早い? 痛みは? 服装は? 「乳がん検診」の不安や疑問、産婦人科医に聞いてみた
10月は「ピンクリボン月間(乳がん月間)」です。乳がんの検査方法である「マンモグラフィー」と「乳房超音波検査」に関する不安や疑問について、産婦人科医が解説します。
10月は「ピンクリボン月間(乳がん月間)」で、毎年、乳がんの早期発見や治療を目指す啓発活動が行われています。乳がん検診の検査方法には「マンモグラフィー」や「乳房超音波検査(乳腺エコー)」がありますが、「20代でマンモグラフィーは早いですか?」「生理中でも受けられるのかな」「どんな服装で行くのがいいんだろう」など、検査について不安や疑問を持つ女性は多いようです。
年代問わず、自分の体と健康を守るために、女性が正しく知っておきたい「乳がん検診」のさまざまな疑問について、産婦人科医の尾西芳子さんに聞きました。
マンモグラフィーは痛みを感じる人も
Q.乳がんについて教えてください。
尾西さん「乳房にできる悪性の腫瘍が乳がんで、女性ホルモン(特にエストロゲン)に反応して大きくなる性質があります。そのため、初潮が早い▽妊娠・授乳経験がない▽高齢出産の経験者など、エストロゲンにさらされる期間が長い人ほど乳がんになりやすいです。また、脂肪の多い食事でリスクが上がるといわれており、近年の高齢出産の増加や食の欧米化により、日本でもなる人が増えています」
Q.乳がん検診の「マンモグラフィー」と「乳房超音波検査(乳腺エコー)」は、どのような検診方法なのでしょうか。
尾西さん「『マンモグラフィー』は乳房のエックス線検査です。乳房は厚みがあるので、重なっている部分にがんがあると見えにくいです。そのため、乳房を専用のプレートで挟み、2方向から撮影します。
一方、『超音波検査』は、あおむけになり、超音波を発生・探知する『超音波プローブ』を乳房に当て、動かしながら乳房を満遍なく診る検査です。
マンモグラフィーと超音波検査にはそれぞれ、得意・不得意な病変があります。例えば、乳腺・乳管に硬い石のようなものが沈着した『石灰化』という状態は、マンモグラフィーの方が発見しやすいです。石灰化はがんの初期症状として現れることがありますが、がんではない良性のケースもあるため、その分布や形で良性/悪性を判断します。この病変は超音波検査では発見しにくいため、マンモグラフィーの方が適しています。
一方で、乳腺が分厚い人の場合、マンモグラフィーではしこりが写りにくいのに対して、超音波検査では乳腺が分厚くても、しこりを腫瘤(しゅりゅう)として見つけることができます。また、しこりとして触れないほどの小さな腫瘤も、超音波検査では見つけることが可能です」
Q.乳がん検診の際、痛みを感じることはあるのでしょうか。
尾西さん「マンモグラフィーは乳房をプレートで挟むため、痛みを感じる人がいます。超音波検査は、痛みは伴いませんが、プローブを動かして隅から隅まで見ていくので、くすぐったく感じる人がいます」
Q.乳がん検診のおおむねの費用を教えてください。
尾西さん「マンモグラフィーと超音波検査は、人間ドックなどで受ける場合は自費となり、それぞれ5000~8000円程度のところが多いです。症状がある場合は保険適用となるため、2500円程度までの自己負担で受けることができます。保険適用でない場合でも、40歳以上の人は市区町村で2年に1度補助が出ることがあり、その場合は、市区町村によって異なりますが最高で3000円程度の自己負担になります」
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