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内定解禁日なのに内定がない! どうする?と焦っている就活生に知ってほしいこと

就活や転職、企業人事のさまざまな話題について、企業の採用・人事担当として2万人超の面接をしてきた筆者が解説します。

内定解禁日なのに内定がない、どうする?
内定解禁日なのに内定がない、どうする?

 10月1日は企業の採用内定解禁日ですが、今年は土曜日にあたるため、実際の内定式は10月3日に行うところも多いと思われます。「内々定」(内定を10月以降に出すという内々の約束を10月よりも前に出すこと)などという言葉もあるように、「内定解禁」は形式的な面が強いとはいえ、それなりにニュースで取り上げられ、特に就活生の関心は高いと思われます。

 一方で、リクルートの就職みらい研究所の「就職プロセス調査」では、9月1日時点の大学生の就職内定率は90.8%であり、この時期になっても就活中という学生もいます。周囲で内定式をやっていれば、焦りが増す人もいるのではないでしょうか。そんな皆さんに、企業の採用・人事担当として2万人超の面接をしてきた筆者から、お伝えしたいことがあります。

まだ頑張っている人はたくさんいる

 まず、「まだ頑張っている人はたくさんいる」ということです。就職活動をする学生は50万人程度と言われますので、1割といっても5万人程度は、就活中の人がいるわけです。また、同調査では、9月1日時点の進路確定率は82.2%とのことですので、「内定はもらっていても、就職活動を続けている」人まで入れると、2割近い学生が進路未定であることが分かります。ここまで入れると10万人規模です。

 周りを見ると内定をもらっている人が確かに多いとは思いますが、まだ納得いく就職活動をしようと頑張っている学生さんたちはこれだけいて、決して自分だけではないということをぜひ知ってください(たくさんいるからつらさが減るわけではないかもしれませんが)。

 また、筆者は日頃、企業の人事や採用を支援する仕事をしているので、その視点から今就職活動を頑張っている学生さんに何か役に立てればと、せんえつながら情報提供をさせていただきます。まず、2023年卒学生の求人倍率は1.58倍です。つまり、学生の数の1.58倍もの席があるということです。これは「売り手市場」と呼ばれ、学生の方が企業よりも強い市場です。

 企業側から見ている筆者としては「全然人が来てくれない」「採れない」と嘆いている企業のなんと多いことか。実際、これを書いている時点(9月25日)で、リクナビで6317社、マイナビで1万9634社の企業が採用活動を続けているようです。

 ただ、その多くは中小企業です。日本企業の99%は中小企業で、70%の人がそこで働いています(筆者の会社もです)。中小企業は知名度が低い所も多いため、よい会社であっても学生の皆さんと出会えていないだけなのです。では、名前も知らない会社をどう選べばよいのでしょうか。

 まずお勧めなのは、就活ナビサイトの「フリーワード検索」です。そこに自分の好きなものを入れて検索してみましょう。どんな言葉でもいいのです。例えば、マイナビで「プロレス」と入れると6社出てきます。ゲーム会社やイベント専門の映像会社、プロレス団体をスポンサードしている不動産会社などなど。ともかく何らかプロレスに関係している会社です。少しでも自分の好きなものに関わるために、「フリーワード検索」で、ぜひいろいろ探してみてください。

探すのに疲れたなら探される側に

 自分から探すのは疲れた、という人もいるでしょう。その場合、スカウトサービス(OfferBoxというサービスが最大で、2023年卒で約20万人とおおよそ3人に1人が登録している計算です)に登録してみてはどうでしょうか。これまで書いてきたエントリーシートをベースにすれば、登録内容を埋めるのはそれほど難しくないでしょう。あとは企業の側からスカウトメールが来るのを待つだけです。

 就活ナビサイトでは学生側が探して応募して選考される側でしたが(ナビにもスカウトサービスはありますが)、スカウトサービスでは企業側が学生を探してスカウトメールを打って選考される側になります。スカウトしてきた企業を選考する側に回りましょう。

 一方で、そもそも、「選ばれること」自体もつらいという人もいるでしょう。「スカウトサービスに登録しても、スカウトが全然来ないのでは?」と心配になるのであれば、「必ず会える」合同企業説明会(合説)や就職イベントに参加してはどうでしょうか。

 参加すればそこに来ている会社の採用担当者と絶対に会えるシステムのイベントは結構あります(時間を決めてローテーションしていくなど)。そうではない合説でも、参加学生が少なくなった今の時期は、企業とマンツーマンで会えるかもしれません。書類選考ではねられて面接にまで至ることが少なかったという人も、書類では分からない自分をちゃんと見てもらえるかもしれません。

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曽和利光(そわ・としみつ)

人材研究所代表

1971年、愛知県豊田市出身。灘高校を経て1990年、京都大学教育学部に入学し、1995年に同学部教育心理学科を卒業。リクルートで人事採用部門を担当し、最終的にはゼネラルマネジャーとして活動した後、オープンハウス、ライフネット生命保険など多様な業界で人事を担当。「組織」「人事」と「心理学」をクロスさせた独特の手法を特徴としている。2011年、「人材研究所」を設立し、代表取締役社長に就任。企業の人事部(採用する側)への指南を行うと同時に、これまで2万人を超える就職希望者の面接を行った経験から、新卒および中途採用の就職活動者(採用される側)への活動指南を各種メディアのコラムなどで展開している。著書に「定着と離職のマネジメント『自ら変わり続ける組織』を実現する人材流動性とは」(ソシム)など。

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