掃除機「非純正」バッテリーの発火事故相次ぐ…そもそも非純正は法的に問題ない?
コードレス掃除機に取り付け可能な非純正のバッテリーパックによる事故が相次いでいます。「非純正品」の製造、販売は問題ないのでしょうか。
経済産業省は10月29日、ダイソン(東京都千代田区)のコードレス掃除機に取り付け可能な、非純正のバッテリーパックから出火したとみられる事故が多発していると発表しました。対象製品は、すみとも商店(2021年10月5日付で倒産)、ロワ・ジャパン(堺市)がそれぞれ、海外から輸入したもので、すでにリコールが始まっていますが、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の調査で、充放電をしていない状態で保管をしていても、基盤上の部品が発熱・発火する可能性があることが確認されました。
経産省は、対象製品を持っている場合はすぐに使用を中止するとともに、廃棄をせずに鍋や空き缶など金属製の容器に入れて安全に保管するよう、注意を呼び掛けています。また、回収方法や廃棄方法は後日公表するとしています。そもそも、メーカーの非純正品の製造、販売は問題ないのでしょうか。NITEと経産省に聞きました。
純正品との違いは?
まずはNITEの製品安全センターに聞きました。
Q.まず、純正品と非純正品の違いについて、教えてください。また、メーカーから許可を得て製造した製品も非純正品扱いになるのでしょうか。それとも、非純正品とは別の扱いになるのでしょうか。
担当者「純正品は製品本体を製造、輸入、販売する事業者によって、その製品用に付属、あるいは追加、交換、修理用として販売されている部品を指します。一方、非純正品はいわゆる互換品として販売されている他社製品を指します。製品本体メーカーから許可を得て製造している非純正品もありますが、それを純正品と呼ぶかどうかは本体メーカーの判断になると思います」
Q.事業者が電気用品を製造、または輸入する際は、電気用品安全法に基づいた手続きなどを行った上で「PSEマーク」を表示しなければならないとされています。すみとも商店、ロワ・ジャパンが輸入したコードレス掃除機用非純正のバッテリーパックにPSEマークは表示されていたのでしょうか。
担当者「PSEマークは表示されていました。しかし、このマークは法的安全基準への自己適合確認による表示なので、事業者が実際に法的義務を履行していたかどうかは不明です」
Q.非純正品による事故を知るためには。
担当者「非純正品も含め、製品による事故が発生した場合、経済産業省のホームページで公表されます。その際、対象製品の型番や製造期間などが記載されるので、心当たりがある場合は確認してください」
Q.もし、非純正品だとは知らずに購入して事故に遭った場合、苦情や被害を訴える公的窓口はあるのでしょうか。
担当者「製品事故などのトラブルに遭った場合は、消費者ホットライン『188』に電話をしてください。お住まいの市区町村の消費生活センターや消費生活相談窓口などにつないでくれるので、そこで相談をしましょう(相談先につながった時点で、通話料金が発生。携帯電話の通話定額サービスの対象外)」
続いて、経済産業省産業保安グループ製品安全課製品事故対策室に聞きました。
Q.すみとも商店やロワ・ジャパンが輸入した、コードレス掃除機の非純正のバッテリーパックによる事故が相次いでいます。メーカーの非純正品を製造、販売するのは問題ないのでしょうか。
担当者「今のところ、非純正品の製造、販売を規制する法律がないため、法律上は問題ありません」
Q.事故があった製品にはPSEマークが表示されていたそうです。すみとも商店やロワ・ジャパンは正式な手続きなどをした上で、PSEマークを表示していたのでしょうか。
担当者「すみとも商店やロワ・ジャパンがPSEマークを表示した経緯は分かっていません。今後、詳しく調査をします」
(オトナンサー編集部)
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