富岡八幡宮の「惨劇」を他人事と思ってはいけない理由
東京・富岡八幡宮の女性宮司が弟に殺害され、その弟も自殺した悲惨な事件――。これを「相続」という視点で見ると、惨劇は、けっして私たちに縁遠い存在ではないことがよく分かります。

富岡八幡宮の女性宮司が実の弟に殺害され、加害者である弟も自殺するという、せい惨な事件が発生しました。その裏には後継問題があったと言われています。筆者はファイナンシャルプランナー(FP)として、さまざまな相談を受けていますが、ここまでの事態にはならなくても、兄弟や姉妹間のトラブルで「死んでほしい」「殺したい」というような、過激な言葉を聞くことも少なくありません。
「もめる相続」の3つの共通点
血を分けた兄弟や姉妹は、いったん憎み合うとその近親憎悪はすさまじく、根本的に解決することは困難です。やはり、相続絡みでもめることが一番多いのですが、ほかにも親の介護や、兄弟や姉妹のうちの誰かの金銭問題、生活態度などさまざまです。今回の事件にしても、ある種の「相続」を巡った悲劇とも言えます。
筆者が思うに、もめる相続には以下のような3つの共通点があります。
(1)兄弟・姉妹間、親子間で日ごろからコミュニケーションが取れていない
(2)親が財産分与に関する「交通整理」をしていない
(3)関係者の中に「常識を欠いた」人物がいる
この3つのどれか、もしくは複数に該当する場合、もめる可能性が高くなります。
今回の事件を見ると(1)に関しては過去の脅迫でも「積年の恨み」と言っているくらいですから、関係は破綻していたのでしょう。(2)の交通整理については、一連の報道によると、先代宮司であるお父様が加害者である弟に対し、過去に裁判所に対し相続排除の申し立てをしていたそうです。おそらくは早い段階で「このままでは禍根を残す」と、そのような決断をしたものと思われますが、相続排除は相続人としての立場を奪うことを意味し、わが子に対する最も厳しい処置と言えます。
また、どこまで真実かは分かりませんが、退職金代わりの一時金やその後の生活費の仕送りなどもあったとされ、将来のトラブルを防ぐために、これ以上の「交通整理」はないような気がします。(3)に関しては「常識に欠ける」どころか、その人格や思考は異常です。筆者の経験上、身内にこのような人物がいる場合、親族間で問題が発生するのは火を見るより明らかです。
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