富岡八幡宮の「惨劇」を他人事と思ってはいけない理由
遺産分割事件を財産額で見ると…
なお、現在では事件そのものよりも、著名神社の宮司が金銭面や税金面でいかに恵まれているか、という部分が注目され、「お金持ち一族内のトラブル」という面ばかり強調されています。このようなことは「大金持ちの話」と思われがちですが実際は全く違います。以下のデータは、平成26年に家庭裁判所へ持ち込まれた「遺産分割事件」12557件を、「財産額」で分類したものです。
【財産額】
1000万円以下 31.9%
5000万円以下 43.0%
1億円以下 12.6%
5億円以下 6.5%
5億円超 0.5%
算定不能 5.5%
「1000万円以下」が全体の31.9%、「5000万円以下」が43.0%と、この2つで全体の実に3/4を占めています。1000万円は決して小さなお金ではありませんが、肉親が骨肉の争いをするほどの金額ではないような気がします。しかし、これが現実なのです。実際、金額の多寡というよりは、親の介護や日ごろのうっ憤、性格の不一致などの「感情面」から、話し合いではどうにも決着がつかなくなるほどに話がこじれてしまうのです。
全てではないにせよ、大部分は冒頭のように「殺したい」ほど相手を憎んでいて、司法の場で解決するしかありません。どの親も、わが子を平等に愛し、長じてからも兄弟姉妹で仲良く助け合ってほしいと願うものですが、ふとしたきっかけで芽生える対立は、血のつながりがあるがゆえに双方に“遠慮”がなく、最悪の場合、今回のような惨劇を引き起こしてしまいます。
悲しいことですが、このような「種」は資産の額に関係なく、至るところにまかれているのです。
(株式会社あおばコンサルティング代表取締役 加藤圭祐)

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